春が来て尚

春の気配を感じる冬の日。
目を覚ました妻を夫が迎える。
冬が明けるその前こそ、よく冷える。

最初は少しの違和感。
しかし、夫の話を聞いている内に、それは降り積もっていくでしょう。

何か、変。

妻の気を引きたいのか、夫は饒舌に妻へ話しかけるのですが、著者の語彙に富んだ表現をここで見る事が出来ます。

私たちは登場人物とその違和感を共有して、答えを探そうとするでしょう。

果たして何が隠されているのか…
そして春になっても尚、凍てつく最後を見るのです。

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