13

「おまわりさん、勘違いしてるよ。あの人を殺したのはボクだよ。」

メイは変わらない声でそう言った。

え。なに。メイは何を言ってるの?僕が、僕がやっちゃったんだよ?


「うん?どういうことだい?」

「おまわりさんはこの状況不思議に思わないの?なんでこんな事をしたのに二人でこんな公園にいるのか。」

「まあ、確かに少し変だとは思うけど。」

「話したことは本当だよ、ボクがあの人を殺してその場を見られたトラオをここまで連れてきて誰にも言うなって脅してたんだよ。」

メイ?メイ?どうしたの?メイは僕を騙してたんじゃないの?

「じゃあなんでトラオ君はこんなに嘘を付いてたんだい?君に脅されてただけでここまで取り乱しながら嘘を付くかい?」

「うん、ボクたちは友達なんだよ?裏切ったら友達が捕まるって考えたら取り乱すし、混乱するんじゃないのかな。」

「じゃあ、なんで今頃になって君はそんなこと言ったんだい。」

「そんなのおまわりさんがトラオにきつい言い方してたからボクだって心位痛むよ。それにね。」

メイは一呼吸おいて言う。

「調べてもらったらわかると思うけどボクの親も人を殺しているんだ。だから子供であるボクもそういう行為を行った所で何も思わないよ。」

え、メイの親が人殺し?メイ?どうしちゃったの???

警官の表情が一瞬にして変わる。

「ちょっと他の警官に連絡してくるからちょっと待っていなさい。」

そう言って警官は少し離れる。

「今だよ、トラオ。靴を取り換えて。靴から嘘がばれちゃうかもしれないからね。」

「メ、メイ?」

「ほら、急いで。」

そう言ってメイは靴を脱ぎ僕に渡す、僕もあっけに取られながら靴を渡す。

「メイ、なんで?なんで嘘を付いたの?」

僕は聞く。

メイは静かに答える。

「言ったよね、嘘を付く奴は嫌いだよ。嘘は何も救ってくれないからね。」

「それって、どういう・・・。」

「君、メイ君といったね。一緒に署まで来てもらうよ。」

気が付けば警官が戻ってきていた。

「トラオ君も後日話を聞かせてもらうことになると思うが一先ず今日は家に帰ってもいいよ。送っていこう。」

「メイは、どうなるの?」

「とりあえず、このまま署まで来てもらうよ。トラオ君は少しここで待っててすぐに別のパトカーが来るから。」

「待って、メイ!どういうことなの?メイ!」

メイは何も答えないまま警官と共にパトカーに乗り込んだ。

「メイ!なんでなの?メイ!」

僕は必死にメイに向かって声を掛ける。

刹那、メイは少しだけこっちを見て微笑んだ。初めて会ったあの時と変わらない顔で。


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