第20話 再会、父よ……
色々と感慨深いが、心の準備終えて、ラストダンジョン・竜王の城……もとい、ゾーマ城に突入する。
ゾーマ城の一階も一通り回り、念の為に袋小路の地下にも、登り下りしながら宝箱ないかどうかと探り、同時にレミラーマをかけて小さなメダルも回収しておく。
玉座に向かう回廊。バタンバタンと出入り口が閉まる。
昔これでハマったかと思って、その度リレミトで脱出し、全然先に進まなかった事があった。実際には門番の大魔人を全て倒せば先に進めるのだが。
石像の目が光り、がおーと雄叫びあげて大魔人が襲いかかってくるが、あっさりと返り討ちにする。力押しのみで来るから残りHPだけ気をつけていれば楽勝である。
『テールは雷神の剣を盗んでいた』
「うわぁうわぁうわぁ、凄いですぅ」
「自分で言うのも何ですが、こうあっさり盗れちゃうと、ありがたみが薄いですね」
先程の不思議な帽子に引き続き、盗賊とは何て役に立つ職業だったんだ。やっぱりスタートの時も遊び人でなく盗賊にしておいた方が、もっとサクサク装備が揃って苦労しなかったかも。
SFCでの雷神の剣(+95)は、魔人の斧(+105)より攻撃力が低い。でもまぁ稲妻剣(+82)よりは強い。道具としての威力も強い。でもまぁバスタードソードより攻撃力低いから、装備のチャンスはもうない。とはいえ、こんなにあっさり取れるのなら、この攻撃力でも良しとして無理して1人バラモスしなくても良かったかもしれない。
とりあえず雷の杖・ベギラマよりは、このベギラゴン効果の方が良いのは明らか。ももに持たせるだけ持たせてみた。
「すみませーん。あたしこの剣使えませーん」
「え、装備出来ないのは知っているけど、道具としても使えないの?」
「出来ませーん」
「でもテールは戦闘で稲妻の剣使いまくっているのよね」
「ええ、装備は出来ませんが」
「そこら辺は微妙ね」※1
「それじゃ、また僕が使いましょうか。稲妻の剣のイオラ効果よりは強そうですし。いっそつくねさんが持ちますか?。多い敵の時に便利ですよ」
「あー、あたしー、あたしー」
「かるびは炎のブーメランがあるでしょ」
という訳で、結局の現在の武器装備。
つくね、魔人の斧(+105)、道具として稲妻の剣。
かるび、バスタードソード(+105)もしくは炎のブーメラン(+42)。
テール、ドラゴンクロウ(+85)、道具として雷神の剣。
もも、草薙の剣(+65)、道具として雷の杖&魔封じの杖。
「これで強敵もザコ敵も大丈夫ね」
「一人バラモスして、必要以上にレベル上げちゃいましたから、出てくるのはほとんどザコ敵ですけどね」
ベギラゴンの剣が予想以上に役に立つ。というか雷の杖があんまり役に立っていない感じ。まぁそれでも、ももが普通に攻撃するよりはマシ程度か。たまに草薙の剣とか魔封じの杖とかも使ってみる。
降りてぐるっと回ると橋が見えた。その橋の向こうでシャキーン・ガシュっと音が聞こえてくる。誰かが戦っているのだろうが、今日はもう疲れたので一旦帰る事にする。リレミト!。
一応ダーマで冒険の書を記録して、今日はおしまい。勇者達も眠るが、俺も寝る。明日も仕事は早いのだ。
☆
翌日からは忙しくゲームは出来なかったので、その次にゲームの電源を入れたのは数日後。仕事から帰って落ち着いてから改めてゲームの電源を入れる。勇者達をリムルダールに跳ばすと、一旦宿屋に泊まりHP・MPの回復。再度、竜王の城へ。
今回はベギラゴンの剣がある為か、戦闘が楽。サクサクと先に進む。途中、何とまたもやトロルキングから雷神の剣を取った。今度は盗んだのではなく宝箱を持っていたというケースであったが。さっそく、つくねが稲妻の剣と交換。ザコ敵も2回のベギラゴンで1ターン瞬殺。
さて前回リレミトした橋まで近付いてみると、またシャキーン・ガシュっという音。また、ではなくまだ戦闘が続いていたらしい。優に3日以上たっている。元気な奴らだ。
近付くと説明が入る。
『オルテガとキングヒドラがにらみ合っている!』
戦っているのはオルテガだ!。言われないと分からなかったけど、テロップで言っている以上、間違いない。
「な、何で親父が!?」
オルテガと戦っているのはキングヒドラ。中ボス級だからそれ程強くはないが、1人で戦うには多少つらい。
「では、援護しましょう」
駆け寄ろうとするが、まるで見えない壁に阻まれて先に進めない。
オルテガはぴょんぴょん飛び回りながら、攻撃したり魔法をかけたりしている。どうやら『ベホマ』と『ライディン』と『バギクロス』は使える様だ。一体どういう職業で経験を積んだのだか。
オルテガはベホマをとなえた。しかしMPが足りない。そこへキングヒドラの炎の直撃を2回喰らい、倒れてしまった。そこでやっと自分達が動ける様になった。
駆け寄る。しかし、なぜかもうキングヒドラはいない。どこへ逃げたか消えたか。
瀕死のオルテガ。近付いて介抱。だがもう明らかに瀕死状態だ。助かりそうにない。
「だ、誰かそこにいるのか……?
私にはもう何も見えぬ…、何も聞こえぬ……」
とか言いながらもセリフは続く。一方的にしゃべりまくる。意外と元気そうだ。
「も、もし誰かいるならどうか伝えて欲しい。
私はアリアハンのオルテガ。今、全てを思い出した。
も、もしそなたがアリアハンに行く事があったなら……
その国に住む、かるびを訪ねオルテガがこう言っていたと伝えてくれ。
平和な世界に出来なかった、この父を許してくれ…とな。ぐふっ!」
オルテガは息絶えた。なぜか死体も消えた。
「親父、何でだよ。間違ってるよ」
「がるび……」
「かるびさん」
「親父はオルテガだろ。黒い3連星のオルテガだろ。だったら死ぬ時は『ぐふ』じゃなくて『どむ』じゃないか」
「かるび、貴方は色んな意味で間違ってるわ」
何にせよ、強制イベントは終了した。この先オルテガに会いたい場合、クリア後に神龍を規定ターン内に倒さないといけない。
という訳でオルテガの事などすっかり忘れて先に進む。
ぐるっと回った先の宝箱の中に賢者の石が入っていた。
「となるとこれは当然、賢者である ももが持つべきですね」
「賢者専用アイテムなんですかぁ?」
「別にそういう訳じゃないでしょうけど、私とかるびは戦闘要員だし、テールは雷神の剣使えるからね」
「やっぱり私専用なんですね」
でもこれでやっと全員の役回りにバランスが取れた。
さて、この先の階段を降りれば、そこにゾーマがいる筈。
「とりあえず帰りましょうか」
「えー、何でー?。まだまだHPもMPもあるよー。最後まで行っちゃおーよー」
「駄目よ。賢者の石を取ったここで一旦帰ってセーブしましょ。ここでクリアしちゃったら、次また賢者の石取りにこないといけないでしょ。それにまだ、魔法が使えない洞窟クリアしていないし」
「あ、そういえば」
そういう訳でリレミト&ダーマにルーラしてセーブ。
★
※1 なぜか道具で使えた、稲妻の剣
実はコレ、バグ技だったらしい。基本、装備出来ないアイテムは道具で使用できない事になっているが、盗賊は、勇者が装備できる武器(王者の剣・雷神の剣・吹雪の剣・稲妻の剣等)を道具で使用できた。
でも当時は、特に疑問に思わず、そんなもんだと思ってプレイしていた。
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