「雑」談 とはなにか
雑談が得意でない。
着地点のみえない会話が苦手である。
いい具合の話題を提供するのも苦手だし、話題を提供されても、会話のラリーが続かない。具体的に何が苦手かというと、おそらく「相手を不快にさせないか」「相手にとって有意義な話題かどうか」という点を意識してしまうからかもしれない。
その結果、会話に色がつかず、なんとなく「無」の空気を生み出している……気がする。
そもそも「雑談」というのが、目標や目的をもたない会話らしいので、中身に深い意味はなく、その都度、共感したり、笑ったり、時に驚いたり? するのが気持ちのいい雑談な気がする。すべて気がするというくくりになってしまうのは、私が雑談をどういったものか、いまいち理解していないからなのだけれども。
というより、「雑談」に良い・悪いを考えている時点で、ダメなのかもしれない。
会社に気持ちの良い雑談をする人がいる。
その人の会話は、すべて溌剌としていて威勢がいい。その話題は相手に失礼なのでは……? と(私が)思う内容でも、さらっとずばっと言ってしまうので、じめっとした暗さが無くて「いやいや、そういうこと言っちゃだめでしょー」という誰かの一言で吹き飛ばされてしまうし、なんなら、みんなが楽しそうにしている。
私は、トークテーマ(話題)を2~3個、もっていないと会話が続かない人間だ。しかも無言の時間が、めちゃくちゃ辛くなる人間でもある。なので、話題を持っていないときは、どうか知っている人に会いませんようにと思いながら、この時間帯だとあの人とすれ違うかもしれないから遠回りをしよう、とか、この場所に寄るとあの人と会ってしまうかもしれないから寄るのは今度にしよう、とか、行動を調整している。
それで、心がおだやかになっているのならいいのだけれども、私の場合はそれを窮屈に感じてしまっている。ひじょうに面倒だ。
その人が苦手なわけでも、雑談が発生してしまっても、無駄には感じない。けれども、きまって自分の発言や振る舞いに後悔して、落ち込んで「あのときの反応は感じがよくなかったよな……」「この話題は避けた方がよかったし、私のあのときのテンションはちょっと変だったよな……」と、ほとほと疲れてしまう。
あの現象は何なんだろうか。
良い人に見られたい という欲求は、確かにある。……ある。それが原因なんだろうか。
いやでも、そもそも「雑談」の意味がわかっていないのが原因かもしれない。言葉には何かしらの意味があって、その人の心があって、それに、こう、「雑」という言葉をつけたくないだけなのかもしれない。
なので、このエッセイを書いている間にも、あの人との会話は「雑談」だったのか? と思うと、いやいや、「雑」ではなかっただろうと思う自分がいる。
雑談、雑談とは、何なのか……。私もいつか、分かる日が来るのだろうか……。
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