「疲れたなあ」の行く先
人間の疲れ具合が目に見えたら良いなあと思う。
ゲームのライフゲージみたいに、頭の上あたりに浮いていて、この人は疲れているな、この人は元気いっぱいだな、というのが目に見えたら人間関係も楽なのかなとフと思う。
たとえば、すごく笑顔で「大丈夫です!」と口先でいっていても、頭上のライフゲージを見ると既に赤色。あと一撃くらったら倒れるみたいなライフだったりする人はいる。そんなときは、ライフゲージさえ見れば「え? めちゃくちゃ赤いじゃん! 倒れそうだよ……!」と気遣ってあげることができる。
ゲームだったら、そういう人には倒れないように回復魔法をかけたり、下がらせたり、ゲームオーバーにならないように配慮できるし、とってもいい気がする。
……でもなあ……「今日は、すごい疲れてるんですよねえ…寝不足で……」と言っている人のライフゲージを見たら元気もりもりで「いや、君は元気もりもりじゃん……」ってなるのも辛い。その人にとったら、赤色じゃなくてもライフゲージが半分減ったら疲れている可能性だってあるんじゃないだろうか。
そもそもあと一撃くらったら倒れる人は疲れているというより「瀕死状態」なわけで。ギリギリが怖い私は、ゲームでは基本的にライフゲージが3分の2以下になったら回復アイテムや魔法をすぐ使う性格だった。
人の疲れ具合は、その当人にしか分からないわけで、何事もそうだが比較しないほうが絶対良いと私は思っている。「疲れたな~もうダメだよ~」という言葉に対して「まだまだ! 大丈夫だって!」と返す人がいる。その人なりの励ましという場合もあるが、やっかいなのは「本気で」大丈夫だと思っている人だ。
なぜ、他人の疲れ具合にジャッジできるのか、私はわからない。でも世の中にはいろんな考えの人がいるので、そんな人が絶対悪だとはいわないし、考えを改めてください! ともいわない。けれど、そんなことをいわれたことがある人には「あなたの疲れはあなたのものです。あなたが疲れたと思ったのなら、疲れているのです」と伝えたい。それはゆるぎない真実だ。他人にジャッジされるものではない。
まあ……そういう意味では、ライフゲージは見えなくてもいいのかもしれないなあ……。「疲れた」と思ったら、そうだよね、と思える日々でありますように。
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