第21話 聞きたくなかった、報告
「アンナベルお姉様は見つかりましたか」
エリザベスはアンナベルが無事に帰ってくることを神殿で祈っていた。が、一晩経ってもアンナベルが帰って来なかったため、自室に戻ったエリザベスは、アンナベルに送った封書に付着しておいた精霊の粉の痕跡を霊感でたどってアンナベルの居場所を探索した。そしてセリーナを介して近衛隊の兵士にその場所を伝えた。
そして、エリザベスは冷静を装いながら、セリーナからの報告を受けた。
「はい、エリザベスお嬢様が仰った場所に、アンナベル様はお体を拘束されて道路に放置されていた、とのことです」
「それで、アンナベルお姉様のお体は無事なのですか、いえ無事ですよね」
「はい、不幸中の幸いと申しますか、お体に目立った傷等はなかったとお聞きしております」
エリザベスは
「そうですか、良かった。本当に良かった」
と、ほっと胸をなで下ろした。
エリザベスは一晩祈っていた緊張感から解き放たれて、思わず涙が出ていた。
「それで、お姉様が拘束されていたということは、Kaitoはまだ……」
セリーナは声を潜めて言った。
「はい、アンナベル様は一言、側近の近衛兵に『暗殺は失敗した』と申し上げたとか……」
「でも、アンナベルお姉様は無事に帰って来られた。今はそれが何よりです」
その言葉を聞いたセリーナの表情は硬かった。どう言おうか考えあぐねている様子だったが、意を決したようで
「それがお嬢様、完全に無事とは言えないのです」
と小声で言った。
エリザベスは動揺した。
「それはどういう意味です? 目立った傷はなかったのでしょう?」
「いえ、それが……。お体は無事だったのですが、精神が、その……」
「精神がどうしたのです。……もしかして精神操作系の魔法にでもかかっているのですか」
「はい、魔法かどうかわかりませんが、完全に鬱状態で、先程の一言を語った後は部屋にこもられて誰にも会いたくないと」
安心していたのも束の間、エリザベスの表情は硬くなった。私のせいだ。もし魔法というのなら、今すぐにでも会って、ヒーラーでもある私が何とかしなければ。
「それで今お姉様は、どこにいるのですか?」
「今、宮廷の自室におられます。そこで近衛隊からのお願いなのですが、宮廷医師団や宮廷魔法師の診察を受けさせようにもアンナベル様は誰にも会おうとしないとか。そこで、アンナベル様に近しいエリザベス様にどういう様子なのか見てきて欲しいと」
「わかりました。私に責任があることです。今すぐにでも行きましょう」
エリザベスは自分の杖を持つと、セリーナを連れてアンナベルの部屋に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます