異世界の美味を喰らい尽くせ!~食材探索と至高のレシピ~

水月 りか

第1章:迷い込んだ先は、絶品カフェ!?

第1話:森のカフェとスパイスの行方

 森の中を吹き抜ける風は、まるで小さな妖精たちが駆け回るような、優しく心地よいざわめきを運んでいた。

 深く息を吸い込めば、湿った土と新緑の香りが鼻腔をくすぐる。鳥たちが木々の合間で囁き合い、小さな川が遠くでせせらいでいた。


 ここは 「エルダの森」。

 広大な大地に根を張る、悠久の木々たちの領域である。


 陽が差し込む場所では、ふわりと甘い花の香りが漂い、木々の間をすり抜ける光が黄金色の光の道を描いていた。

 一方、森の奥へと進めば、昼間でも仄暗く、静寂が支配する領域へと誘われる。空気はひんやりと冷たく、木々の隙間から漏れる僅かな光が、まるで迷い人を導くかのように揺らめいていた。


 そんな神秘的な森の奥――"ここ"に、一軒のカフェがあった。


 その名も 『ルナリーフ』。


 まるで森に溶け込むような佇まいの、幻想的なカフェだった。

 苔むした石畳の道が、古びたけれど趣のある扉へと続いている。建物は木々に囲まれ、壁の一部はツタの葉で覆われていた。扉の前には丸太のベンチが置かれ、かすかに甘く香ばしい香りが漂っている。


 それは、薪の燃える香りと、どこかスパイスのような刺激的な香りが混ざり合ったものだった。


 そんな香りに誘われるように、一人、また一人と旅人が足を止める。


 扉の上には、小さなランプが優しく灯っていた。暖かい光が、まるで訪れる者を歓迎するかのように揺らめく。


 この店の主人は、ダークエルフのセリオン。

 静かな森の中で、ひっそりと店を営みながら、旅人たちに最高の料理を振る舞っているという――そんな噂があった。



 ◆ 旅人、カフェへ辿り着く


「ここが……"ルナリーフ"かぁ!」


 青銀の髪をなびかせながら、シオンは目の前のカフェを見上げた。

 ハーフエルフの彼女は、五大魔道士の一人として名を馳せる実力者でありながら、美味しいものへの探求心が尽きない "食いしん坊冒険者" でもあった。


「うんうん、めっちゃいい雰囲気! 絶対料理も美味しいはず!!」


 シオンは満足げに頷くと、意気揚々と扉を開いた。


 ――カランカラン♪


 鈴のような心地よい音が響き、カフェの中に足を踏み入れる。中は落ち着いた木の香りが漂い、温かみのあるランプが柔らかく灯っていた。壁際には本棚が並び、魔法書や料理のレシピ本が無造作に置かれている。


「いらっしゃいませ。」


 カウンターの奥から、長身のダークエルフの男性が現れた。

 彼こそが、この店の店主――セリオン。


 長い黒髪を後ろで束ね、知的で落ち着いた雰囲気を漂わせている。

 ダークエルフらしい鋭い耳を持ち、紫紺の瞳が静かにシオンを見つめていた。


「ようこそ、『ルナリーフ』へ。」


 セリオンは微笑みながら、上品な手つきでシオンを席へと案内した。


「当店は初めてのご利用ですか?」


「うん! ずっと来たかったんだよね!」


 シオンはワクワクした様子で席に座り、メニューを広げる。

 そこには、どれも美味しそうな料理が並んでいた。"香草グリルチキン"、"森のキノコパイ"、"ルナリーフ特製スープ"――。

 ◆ 幻想の森に溶け込むカフェ


「ここが……うわぁ、本当にあった! これが噂の『ルナリーフ』!!」


 シオンの目の前には、森に溶け込むように佇む一軒のカフェ。

 屋根にはツタが絡みつき、苔むした石畳の道が暖かみのある木の扉へと続いている。

 小さなランプが優しく灯り、その光がまるで招くように揺らめいていた。


「ずっと気になってたんだけど、なかなか来る機会がなくてね!」


 シオンはワクワクした様子で、そっと扉に手をかけた。そして、ゆっくりと押し開く。


 ――カランカラン♪


 鈴のような心地よい音が響き、カフェの中に足を踏み入れる。

 中は落ち着いた木の香りが漂い、温かみのあるランプが柔らかく灯っていた。壁際には本棚が並び、魔法書や料理のレシピ本が無造作に置かれている。


「いらっしゃいませ。」


 カウンターの奥から、長身のダークエルフの男性が現れた。

 彼こそが、この店の店主――セリオン。


 長い黒髪を後ろで束ね、知的で落ち着いた雰囲気を漂わせている。

 ダークエルフらしい鋭い耳を持ち、紫紺の瞳が静かにシオンを見つめていた。


「ようこそ、『ルナリーフ』へ。」


 セリオンは微笑みながら、上品な手つきでシオンを席へと案内した。


「当店は初めてのご利用ですか?」


「ずっと気になってたんだけど、なかなか来る機会がなくてね!」


 シオンはワクワクした様子で席に座り、メニューを広げる。

 そこには、どれも美味しそうな料理が並んでいた。


 "香草グリルチキン"、"森のキノコパイ"、"ルナリーフ特製スープ"――。


「うわぁ……どれも美味しそう!」


「ふふ、ありがとうございます。」


 セリオンは穏やかに笑いながら、シオンの前に一杯の紅茶を置いた。


「まずは、当店のウェルカムティーをどうぞ。」


「おっ、ありがとう! ……わぁ、すごくいい香り……!」


 シオンはそっと湯気を吸い込む。


「……ん? なんだろ、この香り……夜空みたいに、静かで落ち着く……。」


 一口含むと、じんわりと広がる優しい甘み。


「んんっ……!? これ、めっちゃ美味しい……! まるで、月の光を飲んでるみたい……!」


 シオンはもう一口飲み、目を丸くした。


「これ……すごい! なんか普通のお茶と違って、すごく落ち着く感じがする!」


 セリオンは微笑みながら、そっとカップを見つめる。


「それは**『月光茶』**。この森でしか育たない特別な茶葉を使っています。」


「特別な……?」


「この茶葉は、ただのハーブではありません。昼に摘んだものと、夜に摘んだものでは香りがまるで違うのです。

 だから、収穫は満月の夜だけ。月の光を浴びた茶葉が、独特の甘みと深い香りを生むのです。」


「満月の夜限定!? え、それってめっちゃ貴重なんじゃ……!」


 セリオンは穏やかに頷く。


「ええ、だから『月光茶』と呼ばれています。旅人たちは皆、このお茶を飲むと『まるで夜空を飲んでいるみたいだ』と言いますよ。」


「夜空を……!」


 シオンはもう一度、そっとカップを口元へ運ぶ。


 確かに、ふわりとした甘みと、どこか静けさを感じる香りがある。まるで、満月の夜にそよぐ風のような……。


「うん、わかる気がする……! これ、すっごくいい!」


 シオンは感動しながら、また一口……と、ゆっくりと紅茶を楽しむ。



 ◆ 看板メニューを注文! ……しかし!?


「よしっ! それじゃあ注文決めた!」


 シオンは勢いよくメニューを閉じ、セリオンに向き直る。


「この『スパイス香るルナリーフカレー』、お願いしまーす!」


「……。」


 しかし、セリオンの表情が曇った。


「……申し訳ありません。」


「えっ?」


「実は……今、スパイスがなくなってしまっていて、カレーが作れないのです。」


「な、なんだってぇぇ!?」


 シオンは椅子から立ち上がり、目を見開いた。


「スパイスがない……!? それってつまり、カレーが食べられないってこと!?」


 セリオンは静かに頷く。


「はい……この数日、どういうわけかスパイスが"消えてしまう"のです。」


 シオンは思わずメニューを握りしめる。


「消えた……?」


「つまり、誰かが盗んだとか?」


「それが……不思議なことに、盗まれた形跡はないんです。」


 シオンは眉をひそめ、店内を見回した。


「えぇぇ!? じゃあ、どうやってスパイスがなくなったの!?」


 その瞬間、カフェの中をふわりと不思議な風が吹き抜ける。

 シオンは一瞬、背筋がぞくっとした。


「……セリオンさん。これは、ただの偶然とは思えない。」


 セリオンが静かに彼女を見つめる。


「どういう意味ですか?」


 シオンは腕を組み、真剣な表情になった。


「私は"美食にこだわる五大魔道士"。料理の未来が脅かされるなんて、見過ごせるわけないでしょ!!」


「このままでは、私の大事な食の楽しみが奪われる……!!」


「私がこの謎、絶対に解き明かしてみせる!!!」


 シオンは拳を握りしめ、決意を込めた眼差しをセリオンに向けた。


 その時、どこからかかすかにスパイスのような香りが漂った気がした。


 ――果たして、この"スパイス消失事件"の真相とは!?

 次回、森のカフェで巻き起こる謎が明らかに!?



 🌿 初めまして!数ある作品の中から選んでくださり、ありがとうございます!

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 📖 次回もお楽しみに!

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