第1話
私は逃げた。
“あの子”との約束を守るため、なんて言い訳して、南へ。
清光へ逃げてきた。
そこで出会った人たちはみんな優しくて、優しすぎて。
私には勿体ない。
真白を守ると言いながら、守られてばかり。
もう、“あの子”に顔向けできないよ。
…本当は、白雪にもこんなに優しくしてもらう資格なんて、私にはない。
全部言うよ。
どんな反応をされてもいい。
覚悟はできた。
全て語ると誓うから。
だから、せめて真白だけは。
この子だけは、無事に帰させて。
“あの子”を守れなかった分、真白は。
真白だけは。
神様というモノがいるのなら、お願い。
他のものなら、私からなにを取り上げてもいいから。
お願い。
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