青い薔薇3本の花言葉/アニメオタクの俺が社長令息になったら、人生がイージモードでなくなった件

月杜円香

第1話  一体、どうしてこうなったのか……?

 俺は、チョー緊張している!!!!

 目の前には、絶世の美少女が能面みたいな顔でこちらを睨みつけてくるのだ。(怖い、コワイ!! 帰りたいよ~~ そうだ! トイレに行くふりをして帰ろう……)


 俺は、膝を立てた瞬間、力が全く入らないことに気が付いた。しびれが切れていたのだ。俺は、その場で思い切りズッコケてしまった。


 がしゃーーん!!

「あち~~!!」


 テ―ブルのお茶までこぼして、俺は踏んだり蹴ったりだ。


「ピカチュウさん、大丈夫ですか?」


 見合い話を持って来てくれた、お義父さんの弟の奥さん!! 名前が違ってるし……いや、合ってるのか……


 とにかく俺は、足の痺れに悶絶していた訳なんだ。


「有栖川 光宙ぴかちゅう君。あなた、今日は嫌々来たのね? 速く帰りたいと思ってるでしょう?」

(見透かされてる‥‥‥?)


 美少女は、無表情なまま語りかけてきた。


「代理で来たのは私も同じよ、落ち着いて! 痺れてる足の親指を反ればいいのよ」


 少女の所作は美しかった。桜色の振袖を着ていたのだが、着物が乱れることなく、スッと立ち上がって、俺の近くへやって来ると痺れている左足の親指を甲の方へ反ったのである。

(な……な……)


「あら、あら、まあ、まあ……」


 俺の恥ずかしい気持ちなど無視して叔母 さんは大喜びだ。


 程なく、俺の足の痺れも峠を越した。ちゃんと立てるようになったんだ。


「じゃあ、俺、トイレに行ってきます」


「私も行きます。伯母様」


 彼女も親戚の伯母さんに連れて来られているようだった。

 俺は、花ケ咲高校の制服である学ランの詰襟を正して、見合い席である料亭の和室を出ると、見合い相手の少女もついてきた。



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