ゲームで全国統一すると、十億円もらえるといわれてゲームを始めたら、デスゲームでした

長濱こうき(元作家を目指す浪人生)

第1話プロローグ1

「ただいまー」


俺はそう言って、家に帰ってきた。うちの家は千葉市の中でも有数の高級住宅街にある。だから中学受験をしていて、俺も遥も中高一貫の進学校に通っている。なに不自由なく暮らしてきたのだ。


「あれ遥のお帰りーという声が聞こえないな。いつもだったら、満面の笑みで来るはずなのに。靴はあるからでかけてないと思うんだが」


俺はリビングに行くと、はるかが呆然としながら、手紙を見ていた。あの手紙に何かあるのか?俺は遥に近づくと、遥の肩を叩いた。


「どうした遥?」


「お兄ちゃんこれ」


遥は震えた声で、俺にその手紙を渡してきた。俺はその手がもを流し読む。するとあまりの急な展開に呆然するしかなかった。


親が事業に失敗して、膨大な借金を抱えたことが書いてあって、頑張って生きてくれと書いてあったのだ。要するに夜逃げをしたってことだ。あの親自分本意だと思っていたが、ここまでとは。それに借金は一億あるらしい。


「どうしようお兄ちゃん」


「とりあえず俺は高校を中退して働く。まぁ働いて返せるか分からない金額だが。まぁ闇金に借りてないだけ救いか」


その辺の常識は親にあったらしい。それでも莫大な借金があることにかわりないが。俺は明日退学届けを出すことを決めた。


「お兄ちゃん私も働くよ」


「遥はちゃんと高校に通ってくれ。今の世の中学歴社会だからな。中卒じゃいいところに就職できないし、結婚もできるか分からない。遥には幸せになってほしいんだ」


「でも」


「遥こいうときこそお兄ちゃんが背負っていかなきゃいけないんだ。遥は甘えていいんだよ」


少し沈黙した後、遥は口を開いた。


「分かったよ。でも少しでも返せるようにバイトはさせてもらうからね」


それが妥協どころか。まぁ正直中卒で正社員になれるか分からないから、助かるが。


「分かった。今日はもう寝よう。さすがにこんな出来事があって疲れた」


「そうだね、それじゃ寝るねお休み」


「お休み」


俺もお風呂に入った後、机で退学届けを書いて、寝ることにした。ベットに入って横になると、俺は睡魔に襲われて、寝た。


陽光の日差しで起きて、リビングに行き、手紙を見てやはり現実だったかと改めてそう思った。これが夢だったらよかったのに。なんであんなに借金を抱えていたのに、親は豪遊してたんだが。


そう思いながら、俺は学校に行く準備を整えた。


「お兄ちゃんおはよー」


「おはよう」


俺達は借金のこともありできるだけ、お金を使わないようにするため、朝食は抜くことにした。昼と夜は食べるが。やがて準備が終わったので、俺は学校に行くことにした。


「それじゃ行ってくるわ」

 

「行ってらっしゃい」


俺は家をでると、幼馴染みである九条ねるの家へと向かった。隣の部屋だから、すぐに着くんだが。俺はピンポンを押す。するとねるのはーいという声が聞こえて、数分経ってから、でてきた。


「豊久くんおはようー」


「おはようねる。ちょっと大事な話があるんだが」


「分かったよ。それじゃ学校に行く間に話そう」


「そうだな、ちょっと重い話になるから、覚悟して聞いてくれ」


俺達はねるの家をでて、数分経ってから、俺は重い口を開いた。


「実はなうちの親借金していてな。昨日家を夜逃げしたんだ」


ねるは口を大きく開き驚いた様子だった。まぁそりゃそうだよな。昨日までお金があるやつの生活をしていたんだから。


「だから俺は学校を辞めることにしたんだ。働くためにな。まぁ学歴なくて働いてもそこまで稼げる訳じゃないから、いつ借金を返せるか分からないが」


「嫌だよ。それってもう会えないってことだよね?働いたら会う余裕なんてなくなるから、そうだ私の親に言えば返してくれるよ」


「ねるの親に迷惑をかけるわけにはいかないだろ。俺が頑張って稼いで返す」


ここでねるの親に頼ったら、頭が上がらなくなるし、何よりねると対等な関係でいられなくなる。それだけは嫌だ。俺はねるとは対等な関係でいたいのだ。


「頑なに援助は受けるつもりないんだね。でも本当に困ったら頼ってよね」


「まぁやばくなったら、頼るわ」


それから学校に着き、俺はねると別れて、職員室に行き、退学届けを出して、最後の授業を受けていた。ねるは俺のことを見ては悲しそうな顔をしていた。


そんなこんなあり放課後になり、バイト行く時間になったので、ねるから一緒に帰ろうという誘いを断り、バイト先に向かった。ラーメン店なだけあってここ時給がいいから、ここにしたんだよな。ゆくゆく正社員で働ける場所を探すつもりでいるが。


さて学校を辞めて、この生活になってから、一週間が経った。いつも通りバイトを未成年がやるギリギリの時間までやって、家に帰った。


「ただいまー」


だが遥の靴はあるはずのに、お帰りーという声は聞こえない。この一週間は遥も家のことがあって、友達とでかけるのは控えているから、いるはずなんだが。俺は悪い予感が浮かんで急いで、リビングに向かった。


すると遥が倒れていた。お腹を押さえて。


「痛い!痛い!」


俺は駆け足で、遥のもとへ向かった。


「大丈夫か遥!しっかりしろ」


俺は急いで、救急車を呼んだ。すると十分くらい経って、救急車が来たので一緒に乗って、病院まで向かった。


そして遥は急いで検査をして、俺はその結果をソファーで待っていた。なにもないといいが。


「山倉さん四番診察室へどうぞ」


俺は呼ばれたので、診察室に入る。そこにお医者さんが神妙な顔つきでいた。やっぱりなにか病気が見つかったのか?あの痛み方は尋常じゃなかったし。


「それでまず病名は胃潰瘍です」


よかったこれなら手術をして薬を飲めば治る。確かにこの出費はでかいが、シフトを増やせばどうにかなる。遥の命が助かるなら、安いものだ。俺は安堵の息を吐く。


「本題はここからです。一応他の病気の検査したら、白血病でした」

 

「は、白血病!」


「それも結構進行してるようで。だけど手術すればよくはなります。それには何百万のお金が必要ですが」


借金を返すだけで、背一杯なのにまとめて何百万など出せるはずがない。生命保険は解約したし。これから妹が弱りながら死んでいくのを待てというのか!神様は妹まで取り上げるのか!くそなにもできない自分に腹が立つ。


「三ヶ月は持つので、それまで考えてください」


俺は失意のどん底に落ちながら、遥が入院している病室まで来た。何て説明するか。そんなことを考えながら、病室に入った。





















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る