詩「浄化」
Nowaki Arihara(有原野分)
浄化
落下中に
すくえたはずの日の雫
お前はその頭を犬に喰わせる
俺は夕暮れに醤油をかける
金属のプライドが足の裏を癌にした
歩いてきた道は夏の底
見上げると嘘のような水面は
熱された廃墟のように歪んでいく
俺が思っていた大切なものは
お前にとってはレンガの匂いだった
鍋に空いた穴から
左寄りの影が町にさしかかる
その瞬間、消えていく命 岸辺に
大勢の爪が流れ着いた
漂流者だろう
偶然にコーヒーはブラックだった
思想は令和の雨に爛れながら
朝帰りの頭を冷やしていく
打ち寄せる泡
手のひらに落ちてくる落花生 非が
俺を追い駆けてくる
お前は無事に逃げられるだろうか
裸足のまま
ヒを見失ったまま
空気に近い喪服を身につけて
詩「浄化」 Nowaki Arihara(有原野分) @yujiarihara
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