第3話 ある女性の依頼/異世界転生者

「異世界転生者……」

シエルさんはそう呟いた。

「ああ、シエルさんも存在は知っているな?」

「はい、異世界からの人々で、今いる人に憑依したり、産まれる子どもに憑依したりするとかなんとか、と……」

シエルさんがそう言うと

「異世界転生者は前世からこちらにくる際、ギフトと呼ばれる能力をひとつ獲得しているんだ、無論、国の軍隊や刑視隊に所属したり魔物討伐にそのギフトを活用している人もいるが、その数は全体としてみると限りなく少ない。その多くはそれを使った悪事を行う者であるのが現状だ。しかも厄介なことに、彼らの持つギフトは一人一人違うし、強力なものが多い」

と相棒が言った。

「とにかくだ、相手がギフト持ちの異世界転生者の可能性があるのなら、俺ら何でも屋の十八番だな、相棒」

「ああ、僕ら何でも屋は違法なことへの協力を除き基本なんでも請け負うが、異世界転生者絡みが1番の得意分野だろうな。現にシエルさんもその噂を聞きつけてきたのだろう?」

「はい、その通りです」

シエルさんは答えた。確かにこの何でも屋はその手の駆け込み寺として少しは名が知れている。

「晟、とりあえずシエルさんの襲われたであろう場所を見に行くしかないね、情報が少しでも欲しい」

「だな、シエルさん、あなたの依頼を引き受けよう。では貴方が襲われた場所は?」

「ありがとうございます。私が襲われたのは自宅です」

「了解した、そんじゃあ行こうか、晟」

「おう」

俺らはシエルさんの家に出発する準備を始めた。

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