第21話 夏の部活帰り

「今日は早く練習終わったな。」

「そりゃそうだろう。監督も言ってただろう。

試合前だ。よく休めって。」リクが言う。

ショウは「だな。」

僕は少し練習に物足りなさを感じていた。

キャプテンの江島先輩、山川先輩も

僕と同じ顔をしていた。

中2、中3の僕らにはわからない。

大人の監督の采配。

「物足りない。」

これで完全燃焼できるのか?

気合いや根性論のない僕らでも

「勝ちたい。」気持ちは強く持っている。

が練習サボって海に行ってた僕らには、

今更だが説得力がない。

僕の独り言に気づいたリクが。

「タクマ、さっきから何ブツブツ

言ってるんだよ。

サボっても勝ちたい。試合に勝ちたい。

シンプルにそれだけだろう。」

「そうだな。リクの言う通りだ。」

ショウも「勝って全国だー。

女子にもモテたい。」

「ショウ、またそこかー。」

「タクマもそう言いながら、

ミズキさんやリラとも仲良いしな。

タクマも女子好きか?」

「バーロー。当たり前だ。男子はみんな女子が好きだー!」

叫んで瞬間。ミズキさんが僕らの横をすれ違う。

聞かれたかも?

コンビニのユニフォームが見えた。

気づくとミズキさんのコンビニまで歩いていた。

「部活帰り?」

「明日、バスケ決勝なんだ。」

ミズキさんがチラリバスケットシューズを見た。

「がんばってね。」

なんだろう。この近さは。2日目だから?

あまりの自然な流れに戸惑う僕。

後ろ姿を見送った。

キラキラ光って見える。綺麗だ。

ショウがいつの間に仲良くなったんだ。

「そっかー?」

ごまかした。

リラの顔が横切る。

「僕は悪いことはしてない。」

リクが「タクマ、大丈夫か?」

「あー。大丈夫だ。明日がんばろうな。」

「だな。」夏の18時のあかね空。

「綺麗だ。」時間を止めて眺めていたい。

が夕闇にのまれるこの流れる時間もわるくない。

グールが時間を止めた。

「俺様はあの夕闇にのまれたい。」

そう言ってカラスに変身。

時間が動いた。グールは夕闇に消えた。





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