第20話 前日バスケ決勝戦
終業式が終わり。午後からは部活だ。
明日は決勝戦だ。先輩達は気合が入っている。
中2の夏のイベントも明日からだ。
勉強合宿10日間。
ミズキさんは少し封印しておこう。
それに流れとはいえ、僕は桐山リラとの結婚を承諾した。
あちらの世界で僕自身何者かもわからない。
グールも詳しくは教えてくれない。
自分で思い出せってことか。
記憶は、ただおぼろげに小さな女の子とバスケをしていた。それだけだ。
桐山リラの姿もない。波の音。「エマ。」
口に名前を出した瞬間「ボーン。」
先輩のパスしたボールが僕の頭に直撃。
「いたー。」膝を折りうずくまる。
「大丈夫か?」江島先輩が駆けよる。
先輩は真剣だ。明日で優勝全国行きが決まる。
僕の頭のいたみは先輩のバスケへの思いだ。
練習中に余計なこと考えていた僕が悪いんだ。
「江島先輩、大丈夫です。明日、絶対勝ちましょう。優勝しましょう。」
「そうだなタクマ。ただし少し休め。
練習を見ることも大事だ。」
「はい。」
「5分たったらコートへ戻れ。」
僕は大きく「はい。」と返事した。
リクとショウも「タクマ大丈夫か?」
「あ、あ。大丈夫だ。」
体育館にバスケ部の声が響く。
今は僕が何者かでも、気にしない。
今は目の前のリアルな時間に集中だ。
優先順位を間違えてはいけない。
たとえ僕が時間を止めることが、できたとしても。
「ピピッー」ホイッスルが鳴る。
「5対5試合形式でやるぞ。
タクマ、5分たった。コートに戻ってこい!」
「はい!」体育館中に響くように声を張り上げ。
ガードの山川先輩が「タクマは気合い入ってるな。」
リクが「山川先輩、当たり前じゃないですか?
明日は決勝戦。戦いですよ。命をかけた戦いです。
絶対勝ちましょう。」
「おーう。」
「城北バスケ部。優勝するぞ。」
体育館のドアから蒸せるような夏風が大きく入った。
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