第14話 バスケ
「ボーン。」
「いた!」ボールが僕の背中にあたる。
グールが「何、ボーとしてるんだ。
先輩達来るぞ。準備だ。急げ。急げ。」
グールはいつのまにかジャージに着替えて
マネージャーらしい、スコアボードを手に僕らを促す。
リクが「あれ?グール、僕らと一緒にいなかったか?
さすがマネージャー、着替えるの早。」
「トントントン」とボールのドリブルの音が
体育館に響く。
練習前のほんの瞬間。
夏休み前の体育館は蒸し暑。
梅雨が明けて急に7月から、カラカラ天気だ。
6月の雨が恋しい。
この時期僕らは体育館の窓を全開。
入口の重い扉も全開。
僕らの声はグランドのサッカー部まで届きそうな勢いだ。
体育館の四角い箱の中。
天井は高い。埋め込み式のライト。
両サイドのバスケットリンク。
「ビュー」夏の風が入ってきた。
「お疲れ様です。」1年の大きな声。
3年先輩達だ。
たった1つしか、違わないのに
先輩達はデカい。
大人に見える。
僕ら2年生も遅れて挨拶。
「お疲れ様です。」
3年のガードの先輩、山川先輩が
「サボりで海で遊んでいた2年の
タクマ、リク、ショウ。
今日はいるな。ふむふむ。」と半分僕らをからかいながら前を歩く。
山川先輩と仲がいいリクが「山川先輩、今日は僕ら、ちゃんとコートの床磨きにボールの手入れもしてますよ。反省してますよ。」
「ドーン。」
キャプテンの186cmの江島先輩だ。
僕の頭をバスケのボールのように抑えて
「タクマ、もうサボるなよ。来週は決勝戦だ。
お前の3ポイントシュートは必要だ。
試合に出たいなら。
練習だ。練習あるのみ。
すべてのゴールを決めてみろ。
みんないいか!
練習開始だ。円陣組むぞ」
「おー!」
僕の好きな瞬間だ。
丸い円陣の中。声が気持ちが、こだまする。
もし時間を止めれるなら、この瞬間。
両手を肩まで広げて、少し腰をかがめた。ガードのポーズ。
時間が止まる。と思いきやマネージャーのホッスルが響く。
グールが時間を止めるのを邪魔をした。
体育館にボールの音と僕らの熱気が立ち込める。
今は女バスに入った桐山リラのことも脳内から消えた。
僕が夢の国の王子?
今は何もいらない。
シュートあるのみ。
僕は3ポイントシュート。バスケットカウント。
手に力が入る。
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