第12話 学食

「よかった。空いてる。」リクが学食内を見回した。

ここにいる生徒は午後から部活がある

1、2年だ。

3年生は基本、部室を占拠して食べるか、

学校外で食べることが多い。

バスケ部の先輩達は部室占拠の昼ご飯だ。

僕らはいつものカレーセットを注文。

3人でガブガブと食べ出した。

ショウが「次の若楠中との試合、勝つかな。」

僕は「ショウ、負けるとか言うなよな。先輩達が聞いたら、今度こそグランド10周どころじゃないぞ。

3年の先輩達は最後の試合だ。

ピリピリしてるぞ。」

「そうだなタクマ。僕らは、この間のサボリの海の件があるからな。」

僕とリクとシュウは試合に勝った翌日に部活をサボった。

先輩たちから叱られたが、あれはあれでよかった。後悔はない。

たまには真面目に部活しなくてもいいと僕は思う。息抜きは必要だ。

僕らはプロじゃない。ただの中学生だ。

「そうだ。そうだ。」といいながら

僕の横でカレーを当たり前のように食べてる

4人目。?

制服から黒い羽根が出ている。

明らかに人間に変身したグールだ。

思わず僕はグールの頭を「コツン。」

リクとショウは特に驚いた様子もなく。

「そうだな。グールの言う通りだ。」

「えっ?リク、ショウ。グールを知っているのか?」

「当たり前じゃん。タクマのところに下宿してる、タクマのいとこだろう。タクマこそ、何、今更驚いてるんだ。

それに同じクラスで同じバスケ部じゃないか。」

僕はじとーッとグールを見た。

グールは僕だけに聞こえる声で

「見てるだけはつまらいしな。

少し人間達の記憶を操作させてもらった。

これで僕も制服を着た中学生だ。」

悪びれることもなく、グールは、中学生と言うポジションに浮かれている。

リクが「そろそろ食べ終わったし、行くか。」

「そうだな。行くか。」

「先輩達が来る前に体育館の床磨きにバスケのボール手入れあるしな。」

グールが「俺様はマネージャだしいいや。あとから行くぞ。」

僕はグールの頭を「コツン。」

「バカ。マネージャも一緒だ。来い。」

僕らは食べた食器をトレーに入れて戻す。

「ごちそうさまでした。」

そして学食を出た。前からミズキさんが歩いて来る。

「タクマ、ついてるぞ。」リク、ショウがつつく。

一瞬、目が合った気がした。「バーン。」グールが邪魔をする。

「タクマ、惑わされるな。あの女はだめだ。

お前の結婚相手の姫が泣くぞ。」

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