第11話 時間を止めた
「なんだそれ。なんでミズキさんが危険なんだ。グール話してくれ。
それも、分かりやすくな。
王様だの、結婚だの、あちらの世界?
僕にはさっぱりわからないからな。」
グールが「じゃあ、まずはタクマ、その両手を放せ。俺様の胸肉がつぶれそうだ。」
「あー、それはわるい。
それにグールこの時間止めの力は5分しか持たない。」
僕は両手を離した。ちっこいカラスのグールは『やれやれ』といった感じで羽根をパタパタとして宙に浮いた。
「タクマ。時間止めの力、たった5分か。
タクマ、まずいぞ。人間化しているな。
本来の力は余裕で1日。24時間は止めれる。」
「そっか。しかしグール、この力が発動したのはつい最近だぞ。小学生までは何もなかった。中学に入って去年のバスケ部に入った初日気づいた。
新入部員の僕らで移動リンクの作業中にリンクが倒れそうになった。
僕は思わず『止まれ!』と叫んだ。
無意識に両手を横に広げたガードのポーズをしていた。
次の瞬間、すべて止まった。
僕は時間が止まっている間に移動リンクを動かし、もとの位置に戻した。ほぼ5分ぐらいかな。
そのあと時間が動き出した。」
「時間止め発動、えらく遅いな。タクマがこの人間界に来たのは6才だ。
そこから7年余り時間止めの力は発動しなかった。時間止めの力は、王族だけが使える力だ。やっぱり転移の時に何かトラブルがあったんだな。」
「おいおい、グール。話が飛びすぎで理解が追いつかない。
ただ、時間止めの力は使える。
この事実は納得している。目の前のヘンテコなカラス。僕の使い魔のグール、お前も事実だ。それで僕は何者なんだ?」
「お前は夢の国の王子だ。」
「夢の国の王子?ハハハ。それはまたまた。
信じがたい。まるで絵本の中の話だな。」
「まあ、そんなところだ。
タクマ、そろそろ時間だ。
俺様はこのままタクマの近くにいる。
時間だ。タクマ、廊下へ走れ!」
僕の使い魔グールはパッと消えた。
「ザーッ」と音が聞こえだし、モノが動き出す。
両サイドのリクとショウが「見てみろ、ミズキさんの髪の毛、なんか跳ねてないか?」
「そうっか?」僕はチラリ見た。
「それより早く学食行こうぜ。
このあと部活だ。」
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