第7話 桐山リラ
先生が転校生を紹介し、
「では、桐山さん。自己紹介をしてください。」
「はい。桐山リラです。隣町の江北中学から転校してきました。
前の学校ではバスケ部でした。今年は中体連の地区予選でこの学校のバスケ部に負けました。が転校したからにはこの城北中のバスケ部で頑張りたいと思ってます。
2年4組の一員としても早く打ち解けたいと思います。
みなさん仲良くしてください。」桐山さんはぺこりと頭を下げた。
どこからどう見ても明るい体育会系の女子だ。ミズキさんとは真逆のタイプだ。
しかも男子受け。女子受けどちらも良さそうだ。
僕は無意識のうちに桐山さんのことを脳内で品定めしていた。
まるで嫌な大人のようだ。
横の席のリクがすぐ気づく。「タクマ、大丈夫か?」
「あー、大丈夫だ。少し、ボーっとしてだけだ。」
「そっか。ならいいけど。それともタクマ、ミズキさんのことでも考えていたのか?」
「そうだ。そんなところだ。」
今度は僕の真後ろの席のシュウが僕の背中をトントン押す。
「タクマ、ミズキさんがなんだって?」
「ショウ、安心しろ。何も言ってないぞ。」
「そっか。じゃあ、いいや。」
そういいながらもシュウの顔はニコニコしている。
たぶん、ショウの隣の席が空いてる。たぶん横に桐山さんが来るのをかなり期待しているのがわかる。
先生が「じゃあ、桐山さん、一番後ろのショウの横の席に座りなさい。ショウもバスケット部だ。部活のことは彼に聞くといい。」
「はい。ありがとうございます先生。」
桐山さんは明るく、軽やかにショウの隣の席に着いた。
「私は桐山リラ。ヨロシクね。」
少し緊張しているのかショウの声が少しうわずっている。
「あー、ヨロシク。桐山さん。」
「あー、リラでいいよ。名前で呼ばれるほうがいいかも。」
「そう。そうなんだ。じゃリラ、ヨロシク。僕はショウだ。僕も名前で呼んでくれ。」
「わかった。ありがとう。ショウ。」
僕は今とても嫌な気分だ。2人の会話が聞こえる。桐山さんは僕のことを知っていると言ってた。がしかし今はショウと仲良しだ。
僕はミズキさんに惹かれている。
でもこのショウへの嫉妬は何だろうか?
何か、このあたりがモヤモヤする。
そうだ時間を止めよう。気持ちの整理のためだ。
僕はいつものガードのポーズで時間を止めた。が3秒も持たずに時間は動き出した。『今は時間止めないで。』声が。『誰?』
なんだ、この変な違和感は。時間が止まらない。
心がざわついて苦しい。
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