ウミガメ編 第7話:海流の地図—ウミガメの故郷への手がかり

 ◆手がかりを求めて:海流を知る方法


 ゆりあは、水族館のスタッフのもとへ向かった。

 ウミガメの故郷を探すためには、"過去の海流の流れ"を知る必要がある。


「すみません、海流のデータって、どこかで調べることはできますか?」


 スタッフは驚いた表情を見せたが、すぐに優しく頷いた。


「海流のデータは、海洋研究所や大学が記録していることが多いですね。特に、ウミガメの回遊ルートは調査されていることもありますよ」


「調査……!」


 ゆりあの目が輝いた。


「それって、私でも見ることはできますか?」


「一般公開されているものなら、インターネットでも見られると思います。過去の海流の流れを知るには、気象庁や海洋研究機関のデータが役に立つかもしれません」


「気象庁……!」


 ゆりあは、すぐにスマートフォンを取り出して検索を始めた。

 海流の動きが記録されているサイトがあれば、ウミガメの流れ着いたルートが分かるかもしれない——!



 ◆過去の海流:データが示すもの


 ゆりあは、過去の海流データを調べてみた。

 日本周辺の海流の流れ、そしてウミガメが漂流してきた可能性のある海域——。


「クック……道……?」


 オウムが画面を覗き込む。


「……あった!」


 ゆりあは、小さく声を上げた。


「このルート……!ウミガメが流されてきたのは、おそらくこの海流の流れに乗ってきたんだ!」


 ・ 黒潮——南から北へ流れる暖流。

 ・ 黒潮続流——さらに北へ伸び、日本列島に沿って進む流れ。

 ・ 太平洋の大回流——ウミガメが迷い込んだ可能性のあるルート。


「やっぱり……南の海から来た可能性が高いんだね」


 ウミガメの故郷は、"この海流の先"にあるはず——!



 ◆失われた島:霧の向こうにあるもの


「でも、どうして故郷が見えなくなったんだろう……?」


 海流を辿れば、ウミガメの生まれた場所にたどり着くはず。

 でも、記憶の中の"霧"は、未だにその場所を隠している。


「クック……消えた……?」


「何かが隠してる……?」


 ゆりあは、画面の海流データを眺めながら考えた。


 ——もし、その場所が"地図に載っていない"としたら?

 ——もし、本当に"存在しないことにされている"としたら?


「……君の故郷って、"今も存在してるのかな"?」


 ウミガメの記憶の中では、確かに生まれた場所があった。

 けれど、それが"今もある"とは限らない。


「クック……道があっても……帰る場所がなかったら……?」


「……そんなの、嫌だよ」


 ゆりあは、小さく呟いた。

 ウミガメがずっと探していた"帰る場所"が、本当はもうないなんて——そんなの、悲しすぎる。



 ◆波が運ぶ答え:消えた故郷の謎


 ゆりあは、水槽の中のウミガメを見つめた。

 彼は相変わらずゆっくりと泳ぎながら、まるで何かを考えているようだった。


「……でも、もし君の故郷がまだあるのなら、"波"が知ってるはずだよね」


 波は、ずっと世界を巡っている。

 もし、本当に"島が消えた"のなら、その痕跡がどこかに残っているはず——。


「クック……波が、答えを持ってる……?」


 ゆりあは、小さく頷いた。


「そうだよ。"波の流れ"をもっと詳しく調べれば、君の故郷がどこにあったのか分かるはず!」


 ウミガメの記憶と、海流のデータを照らし合わせれば——**"消えた島の場所"**を特定できるかもしれない!


「……次は、その場所を探してみよう!」


 ウミガメの帰るべき場所を見つけるために——ゆりあは、新たな調査を始めることを決めた。



 ◆次回「波の地図:失われた故郷の座標」—ウミガメの故郷の場所を探す!

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