第7章:冒険家!?

ミーアキャット編 第1話:小さな探検隊

◆小さな探検隊:ミーアキャットの夜の冒険


夜の動物園。

月の光が柔らかく降り注ぎ、静寂の中に小さな足音が響く。

ゆりあは、ミーアキャットのエリアの前に立っていた。

昼間は元気に走り回り、ピョコピョコと立ち上がって辺りを警戒する彼ら。

でも——夜は違う。


「……なんだか、静かだね」


ミーアキャットたちは、昼間とは打って変わって、巣穴のそばでじっとしていた。

まるで何かを見張っているみたいに、キョロキョロと辺りを気にしている。


「クック……夜の見張り……」


オウムが、肩の上で小さく囁く。


「見張り?」


ゆりあが聞き返すと、オウムはふわりと羽を揺らした。


「クック……夜だけ、探検……」


「探検?」


ゆりあはフェンス越しに巣穴を覗き込む。

ミーアキャットたちは、小さく鳴きながら、お互いに合図を送り合っている。

その瞬間——

巣穴の奥から、小さな影がひょこっと顔を出した。


「……子ども?」


ゆりあの言葉に、小さなミーアキャットはピクリと耳を動かし、周りを見回した。

そして——


パッ!


次の瞬間、ちょこちょこと駆け出し、暗闇の中へ消えていった。


「えっ……!?」


ゆりあは思わず駆け寄ろうとする。

けれど、オウムがすぐに囁いた。


「クック……これは、夜の訓練……」


「……訓練?」


フェンスの向こうで、他のミーアキャットたちが動き出す。大人のミーアキャットが、そっと子どもの後を追う。そして、巣穴の中から、また別の子どもが出てきた。


「もしかして……夜に探検するのが、彼らのルールなの?」


ゆりあが呟いた瞬間——

子どもたちが、小さな声で鳴いた。


「キュキュッ!」


その声に、大人のミーアキャットたちがじっと耳を澄ます。そして——

一斉に動き出した。



◆夜の訓練:静かな冒険

ミーアキャットたちは、隊列を組むように移動し始めた。

先頭を行くのは、一番体の大きな大人のミーアキャット。後ろには、小さな子どもたちが続く。


「クック……隊長……」


オウムが、ミーアキャットの一匹を指して囁く。

ゆりあは、そのミーアキャットを見つめた。

他の子よりも一回り大きく、体つきもしっかりしている。

彼は、夜の間、仲間を守るために先導しているのだろうか?


「……もしかして、これは『夜の探検訓練』なの?」


ゆりあが呟くと、オウムは小さく頷いた。


「クック……夜だけ、見えるもの……」


「夜だけ、見えるもの?」


その言葉に、ゆりあはもう一度ミーアキャットたちを見つめた。

彼らの行く先——そこには、"何か" があるのだろうか?



◆探検隊の目的地:見えない何か


ミーアキャットたちは、ゆっくりと移動しながら、何かを探すように鼻をクンクンさせている。

そして、子どもたちは、一歩ずつ慎重に足を運んでいる。


「……もしかして、夜だけのルール?」


ゆりあは、過去にオウムが言っていた言葉を思い出す。


"夜だけ、見えるもの"


「クック……夜の探検……秘密を探す……」


オウムがそう囁いた瞬間——

ミーアキャットたちが、一斉に立ち上がった。


「……えっ?」


彼らは、皆、同じ方向を見つめている。

巣穴の外、ほんの少し先の暗闇の中。

そこには——

"何もない" はずだった。

けれど、ミーアキャットたちは、まるで何かがそこにいるように、じっと見つめ続けていた。


「クック……見つけた……」


オウムの言葉に、ゆりあの背筋がぞくりと震えた。

そこには、本当に "何か" がいるのだろうか——?



◆深まる謎:ミーアキャットが見つめる「秘密」の正体


ゆりあは、ミーアキャットたちが立ち上がった場所を、もう一度見つめた。

そこには、やはり何も見えない。

しかし、ミーアキャットたちは、相変わらず一点を見つめている。


「……一体、何が……?」


ゆりあは、首を傾げた。

その時、オウムが再び口を開いた。


「クック……大切なもの……」


「大切なもの……?」


ゆりあは、ミーアキャットたちを見つめた。

彼らにとって、"大切なもの" とは、一体何なのだろうか?



◆ゆりあの変化:動物たちの気持ちに触れる

ゆりあは、ミーアキャットたちの行動を見て、あることに気づいた。


「……私、少しずつ、動物たちの気持ちがわかるようになってきたのかもしれない」


以前は、動物たちの行動を見ていても、何を考えているのか、何を感じているのか、全くわからなかった。

しかし、最近は、彼らの表情や仕草から、ほんの少しだけ気持ちが伝わってくるようになった。


「これも、オウムのおかげかな……」


ゆりあは、肩に乗るオウムを見つめた。

オウムは、ゆりあに様々なことを教えてくれる。

動物たちの言葉、夜の動物園の秘密、そして——動物たちの気持ち。


「ありがとう、オウム」


ゆりあがそう言うと、オウムは嬉しそうに羽を揺らした。



◆次回「夜を見つめる瞳」——探検隊の目的地が明らかに


ミーアキャットたちが見つめる先にある "秘密"。

それは、一体何なのか?

ゆりあは、ミーアキャットたちの "夜の冒険" に同行し、その謎を解き明かそうとする——。


To be continued…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る