児童向けの本棚に一冊置いておきたい清き心の物語
- ★★★ Excellent!!!
大切な花瓶を割ってしまった涼ちゃん。
「ごめんなさい」と言える勇気が持てなくて逃げ出してしまいます。
そんな涼ちゃんの前に現れた不思議なお兄さん。
誰にも分からなければ大丈夫だよ……と甘い言葉をかけるも、涼ちゃんはこれに反し、謝ることを心に決めるのです。
その決心にお兄さんは、持っている七色の傘をまるで天に架けるように涼ちゃんの心を受け止めます。
「そうか。キミは勇気を出すんだね」
この美しくも温かい、そして包み込むような心の安らぎに満ちるシーンは印象的です。
そして忘れられないフレーズがあります。
「これはただの虹じゃない。さっきも言った通り、キミの心が作った希望の橋だよ」(抜粋)
この橋は誰の心にも作ることができる可能性を示唆していると感じ取ります。
子供でも、大人でも。勇気に架かる心の空に。
今日も誰かの虹が架かる、そんな読後感が心地よい一作です。
忘れていた心を解きほぐす。そんな大切なメッセージをもう一度、この小説は教えてくれました。
作者様、ありがとう。