第3話 「同僚の視点」
私、渡辺は、佐藤さんの同僚として5年間、彼の変貌を見てきた男です。
【フラッシュバック】
最初に不正を見つけたのは2年前。経理部の資料をチェックしていた時、微妙な金額の違和感に気付きました。調べれば調べるほど、佐藤さんの手口が見えてきた。でも、それを告発できなかった。なぜなら...。
「渡辺さん、実はあなたのことも知っているんです」彼はそう言って、私の過去の不正も暴露してきました。それ以来、私たちは奇妙な共犯関係に陥っていました。
あの日、会社の金の件で話があると呼び出されたのは事実です。着服総額は300万円。私も加担していた金額を含めると、その倍以上になります。
土下座して延期を懇願する佐藤さんを前に、私は複雑な思いでした。憎しみ、同情、そして恐れ。彼が本当に全てを告発したら、私も終わりです。
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