空き家の秘密
天蝶
第0話
ある町に一軒の古い空き家があった。長い間誰も住んでおらず、周りの住人たちはその家を避けるようにしていた。噂では、そこに住んでいた家族が不可解な理由で失踪したと言われていた。
興味本位の青年、タケシは、友人たちとその空き家を探検することにした。夜になり、懐中電灯を持って家の中に入ると、埃まみれの家具や、古い壁紙が剥がれかけた部屋が広がっていた。静寂の中、何かが彼らの足音に反応するかのように、薄暗い廊下に響く音が聞こえた。
「誰かいるのか?」とタケシが声をかけると、返事はなく、ただ風が窓を揺らす音だけがした。彼らはさらに奥へ進んでいくと、突然、どこからか微かな子供の笑い声が聞こえてきた。
「この家に子供がいたのか?」と友人の一人が言ったが、タケシは不気味さを感じ始めていた。音の正体を探ろうと、彼は笑い声のする方へ向かう。すると、薄暗い部屋の中に、一つの古いオルゴールが置かれているのを見つけた。
不思議に思ってオルゴールを開けると、メロディが流れ始め、その瞬間、彼の後ろにいるはずの友人たちの声が聞こえなくなった。振り返ると、誰もいない。恐怖にかられたタケシは、急いで外に出ようとしたが、ドアは閉まって開かない。
心臓が高鳴る中、彼は部屋を飛び出し、何とか窓から外に出た。しかし、彼の周りには友人の姿は見当たらない。絶望的に家の周りを探してみるが、いつの間にか町が消え、そこに立っているのは空き家だけだった。
彼は気づくと、自分もまたこの家の一部となっていることを感じた。何かが彼を呼んでいる。彼の次の一歩を踏み出す時、彼は「次は君の番だ」と子供の声を聞いた。
その後、タケシの姿もこの町から消え、空き家は再び静けさに包まれた。誰もがその家に近づかなくなり、次の冒険者が現れるのを静かに待っていた。
空き家の秘密 天蝶 @tenchoo
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