無限の幻夢(げんむ)

転生新語

無限の幻夢(げんむ)

 おたがいのはねうのか、つばさでる。私たちは、これまでの記憶きおくかった。周囲しゅうい暗闇くらやみで、私たちの素肌すはだむらさきがかったピンクいろかがやいている。


貴女あなた身体からだ、とても綺麗きれいだわ。私は綺麗きれいかしら? とくに背中せなかがわは、自分じぶんじゃえないから」


冗談じょうだんでしょう。貴女あなたみたいなうつくしい存在そんざいほかにないわ。背中せなかつばさは、まるで白鳥はくちょうみたい」


 はだかの私たちは、かがみもないのでたがいの観察かんさつでしか自身じしんることができない。しかし自分じぶんはねは、はしほうみずからの視界しかいはいるのだが、彼女かのじょ観察かんさつとはちがってえた。


「私のつばさ白鳥はくちょうみたいですって? むしろ私にはコウモリにえるわ。白鳥はくちょうつばさがあるのは貴女あなたほうよ」


「そんなわけない! 私のつばさは、もっと凶々まがまがしいわ」


 どうやら私たちには、たがいのしかえないようだ。私たちは天使てんしなのか、あるいは悪魔あくま天使てんしこいちて、追放ついほうされ記憶きおくくしたのか。


「どうでもいいわね。私たちには永遠えいえん時間じかんがあるわ」


 微笑ほほえい、私と彼女かのじょやみなか微睡まどろんだ。

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