第28話:後日譚2(我が家の再構築)
最後に我が家。我が家は絶賛再構築中だ。最初こそギクシャクしていた感じが強かった。誤解の無いように言っておくが、まだ完全に元通りになったわけじゃない。多分、元通りにはならない。
妻も最初の内はすごく遠慮しているというか、控えめというか、おどおどしていた。また俺が急に失そうしたり、離婚するとか言い始めるのではないかと思っていたみたいだ。これだけかわいい妻が自信がないというのも困りものだ。妻はいつでも最高にかわいくあってほしい。
不倫された夫なのだが、俺は俺で妻との信頼関係を構築していかないといけないと思っている。
俺は仕事において気張り過ぎず、常識的な休暇が取れるようにしている。これまでは「俺が俺が」って何かあったら真っ先にトラブルにツッコんで対応してた。自分がこういうの大嫌いだから、みんなも嫌いだと思って、他に渡さないようにしてた。
ところが、同僚から「クレームは誰でも嫌なもんだから、風間さんがひとりで当たらなくて大丈夫ですよ。担当もあるんですけど、みんなで手分けしましょう」と言われた。目から鱗だった。俺はいつの間にか頑張り過ぎてた。求められる以上に。最近では、他の人に仕事を渡すこともある。上司からは「他人に任せられるのも成長」って言われた。
収入はそこそこだけど、元々浪費しない。生活に困っていることはなかった。もらった慰謝料は子どもの将来のために貯金していて、ほとんど手をつけていない。このお金については……、しばらく考えたくない。
妻との関係改善のために始めたことの一つは「週末のドライブ」がある。月に1回程度今まで行ったことがないところにドライブに行くことにしている。例えば、新進気鋭のデザイナーのモニュメントが置かれたビーチとか、少し離れた山の中にある明太子工場の中の明太子食べ放題のビュッフェとか、朝取りで生産者直売の野菜が中心の道の駅など。
二人でそれぞれ調べて、娘も連れて三人で出かける。この調べるところからやるのが楽しいのだ。妻が喜ぶかな、とか娘は好きなはず、とか相手のことを考えると、なにが好きかとか自然と見えてくる。お互いの理解を深めるのに効果的なようだ。
話す時間も、娘が起きている時はスマホの画面をテレビの大画面に映して「ここは○○が楽しそう」とか話したり、娘が寝てしまって、嫁と二人だけの時はワインを飲みながら、それぞれのスマホの画面を見せ合いながら計画するのだ。
当然、ドライブ当日は楽しいのだけど、この計画を立てるときもまた楽しみの一つになっている。このときの嫁は敬語も少なくなって、会話に集中しているように感じる。笑顔も多いので俺の精神も安定する。
二つ目は、夫婦そろって心療内科に通っていること。俺は相変わらずベッドにおいてコンプレックスがあるし、妻は自分が不倫していたことに強いショックを受けていて、あの泣き続ける日々や過呼吸の状態がフラッシュバックするらしい。PTSD……いわゆる、トラウマ。
彼女は自分の行動に軽率なところが無いか、すごくナーバスになっているみたいだ。俺の帰りが遅くなった時とか、長時間姿が見えない時もあんまりよくないみたい。
俺の帰りが遅くなるときは、会社内でトラブルがあって急な残業になるときくらい。月に何回もあるわけじゃないけど、それなりにテンパるから家への連絡が疎かになる。それでも、今は必ずメッセージを送るか、電話をするかするようにしている。
心療内科では過去のことも話して、二人セットで見てもらっている。この辺りはひとりでは乗り越えられないし、一朝一夕では解決できなさそうだ。時間とお金がかかるが大事なこと。継続して取り組みたい。
再構築のために二人で取り組んでいる項目の三つ目は、俺のトラウマにも関わるので、あまり言いたくないけど、ベッドでのこと。店長にされたことを聞いて俺が妻の記憶を上書きするようなことをやっている。
……分かる。なんだそりゃって。
この行動は娘が寝てしまってから、夫婦の寝室で行われる。妻がベッド中央に横になる。俺は彼女にまたがるような格好で膝立ちになる。
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
お互い真剣な表情で挨拶するところから始まる。
「ひどいことはされなかった?」
「どこからがひどいことか分からないけど、痛いこととかはなかったです」
妻が店長にされたことを聞いて受け止めている。思い出して話す妻の方も辛いだろうし、聞かされる俺も辛い。でも、片方の秘め事にするのではなく、共有して乗り越えていく。
「縛られたりは?」
「それはないけど、両腕を上に上げて手首をスカーフみたいので縛られたのはありました」
なんだと!? あの野郎ーーー。俺もそんなことしたことないぞ。早速、俺も周囲で手ごろな拘束具を探す。
……いいのがなかったから、ネクタイを使うことにした。
「痛くない?」
「全然大丈夫です」
妻の両腕を縛ってベッドのヘッドボードに引っ掛ける。太ももの上辺りに俺がまたがってるので、妻の自由はほぼ奪っている状態。
「それで、なにされたの?」
「シャツをたくし上げられて……胸の写真を……撮られました」
恥ずかしそうに白状する妻。俺は嫉妬心とか劣等感とか怒りとか悲しみとか色々な感情が渦巻く。
ヤツにやられたように、妻のパジャマの前のボタンを外していき、上半身をはだけさせた。妻はもぞもぞ身をねじって恥ずかしがっている。
多分、俺はおかしい。おかしくなってる。俺のナニははち切れんばかりにガチガチだった。これは「寝とられ」の発想では!? ネトラレは脳が破壊されるとか聞いた。ホントかウソか知らないけど、ヤバい。ガッチガチだ。
「他は?」
「たしか……胸を触られたと……思います」
俺は妻の胸をもみ始めた。乳房を弄び、乳首を軽く捻りあげる。たまらず妻が声を上げる。嫁はあまり声が出ると恥ずかしそうにして、普段なら自分で口をふさぐ。でも、今は縛られていてそれができない。
妻は胸を持ち上げるみたいにして揉まれると反応がいいので、続けて寄せて上げるみたいにしてもみ続けた。
妻が泣きそうな顔でよがりまくる。
「こんな感じ?」
「そんなには……触られなかった……です」
こんなに恥ずかしそうにしている妻を見ると、俺もものすごく興奮する。
「じゃあ、もっと触って記憶の上書きしよう」
「もっ、もっ、もうダメ……かも……しれません」
「どういうこと?」
調子に乗って、欲望のままもみ続けると妻はぎゅーーーっっと身体を硬直させた。しばらくして、今度はだらりと力が抜け息が荒い。
「もしかして……?」
俺が聞くと半分涙目でコクコクと頷いた。俺が黙って見ていると小さい声で「……イキました」と自白した。
「違うんです! 変態じゃありません! 元々、パパに胸を揉まれると気持ちよくて……!」
そこまで言って自分が恥しい告白をしていることに気づき黙ってしまった。顔を隠したいのだけど、両腕を縛られていて動けない。これは良くない。なんか俺の新しい扉が開いてしまいそうだ。
よし、今後「いたす」ときは胸を揉む時間は長めにしよう。胸だけでイッたときの妻の顔は恥ずかしそうで、めちゃくちゃかわいい。
「他は? 足を縛られたりは?」
「ないない! ないです!」
妻はぶんぶんと首を振った。かわいい。写真に収めたい。
「あ、胸のときは写真を撮られたんだったね」
「いやいや! 恥かしいっ!」
相手は動けないんだし、あんまりいじめないようにしようかな。俺はネクタイを外してあげた。
妻は手首をさすっていたけど、跡とかは残ってなかった。でも、なにかを言いたそうだった。クレームだろうか。不満があればそれもきちんと言葉にしてもらって聞いて受け止めたい。
「今、どんなことを考えてる?」
「その……」
なんか、恥ずかしそうだ。不満を言うのをためらっているのだろう。ここはしっかり聞きたい。
「また……ときどき、ネクタイ……してください」
「……はい」
妻は「ネクタイプレイ」がお気に入りのようだ。俺もかなり興奮してる。別にSMの気がある訳じゃないし、目覚めたわけでもない。……多分。でも、「バリエーション」が増えた。ヨシとしよう。
深追いはしない。調子がいいときに1日1項目くらい。この日も「ネクタイ」の後は普通にしただけ。ただ、今までより少し激しくなったかも。彼女は背も低めだし、身体は小さめだ。俺のデカい身体を考えたら少なからず遠慮もあった。
だけど、最近は色々「実験」していくうちに、もう少し激しくても大丈夫だと分かってきたのだ。
そのほか、嫁は1回イクと100メートルを全力で走って来たのかと思うほど、息を切らしていた。これは体力的なものだと思っていたのだ。身体をビクンビクンと痙攣させながら息を切らしていたので、俺はいつもその間そっとしていた。彼女が落ち着くまで頭を撫でたりするくらいだった。
ところが、ほんのいたずら心で「痙攣タイム」も攻めまくったら、彼女はもう一段か二段くらい上にイクようになってしまった。ある時は、しばらくイッたまま降りて来ず、失神寸前になることも……。
その間、辛いのか聞いてみたら、頭は真っ白で幸せな時間がずっと続くのだという。俺達の夜の営みはこれまでよりも1回の回数が増えた。嫁も恥ずかしそうに誘って来ることがある。
頬が少し赤く染まった感じ……さくら色って言ったらいいのか……。潤んだ瞳で誘ってくるので、その表情を見たらこれはこれで悪くないと思っている。
これまでに乗り越えて上書きしてきた項目に「ナメナメ」、「裏表同時」、「連続」、「ナメナメ2」、「ごっくん」、「ホジホジ」などがある。だいぶ妻とは色々に挑戦してきた。ある意味「開発」していってると言ってもいいのではないだろうか。機会があればこれらについても紹介したい。
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