壱⑦
「で? 本題は?」
あっさりと体の上下を入れ
「こんな呼びつけ方をするんだもの。あんた、よっぽど何かに困ってるんでしょ?」
言葉はあえて
明仙連が
「あんたが
「……ハッ!」
そんな紅珠に返されたのは、
それを感じ取っていても、紅珠は視線のひとつさえ
「何を
「あんたは昔から、女としての私には興味がない」
涼の言葉には、どこか
その言葉を、紅珠は静かに
そんな涼へ、紅珠は
「あんたは周囲には打ち明けられない事情を
紅珠が今回の一件に冷静に思考を巡らせた結果、行き着いた『答え』がこれだった。
だって紅珠は、これが自分達の中で絶対の真理であると、知っているから。
──私が逆の立場だったら、そうだもの。
涼が『紅珠』にこだわり、
その
あえて言葉で確かめなくたって、明仙連に
──あんたのことはいけ好かないと今でも思ってるけども。……でも、それ以上の
だからきっと、自分は絶体絶命の窮地に追い詰められたら、真っ先に涼に助けを求めてしまう。涼もそれは同じはずだと、紅珠は勝手に思っている。
冷静にそこまで考えた時には、もう理由はこれしかないと確信を
涼もそれを知っていたからこそ、あれだけの根回しをして予防線を張ったのだろう。真相に気付けなかった紅珠が、
──じゃあ、どうして素直に正面から、明仙連にいる私に協力を
そこは何かしら、
「あえて
紅珠が冷静に言葉を並べていくうちに、
「で? 何か反論は?」
「……お前、太っただろ?
「分かった。やっぱ殺す」
涼の言葉に、紅珠は考えるよりも早く指先に力を込めた。だが紅珠の指が涼の頸動脈と気道を
「手ぇ貸してくれ、紅珠」
柔らかく紡がれた声には、切実な響きが滲んでいた。この
「一年ちょい、一人で
「最初っから素直にそう言えばいいのよ。とっとと言いなさいよ、バカ」
スルリと涼の
「で? あんたはここで何をしてるわけ?」
「ここでっつーか、
どこから話したものかと迷うように一度宙へ視線を投げた涼は、紅珠に視線を
「皇帝一族には、代々一族の内側から……つまり一族に名を連ねる立場にありながら、臣下としてっつーか、お抱え術師としてっつーか、……まぁそんな立場から皇帝一族を守護する呪術師……『
どうやら涼は根本的な部分から説明を始めるつもりのようだ。話が長くなる気配を察した紅珠は、よりくつろげる体勢を求めて手元に枕を引き寄せる。
そんな紅珠の仕草にフッと口元を
「お前、そういう話、聞いたことある?」
「初耳。
「分かった。長くなるから、耳の穴かっぽじってよぉーく聞けよ」
「……あんた、そんな
『どこでそんな言葉遣い覚えてきたのよ?』と
そんな自分が知っている『涼』と変わらない仕草に、紅珠は
絶華の契り 仮初め呪術師夫婦は後宮を駆ける 安崎依代/角川ビーンズ文庫 @beans
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