壱②
祓師塾入塾をもぎ取った紅珠が、次に目指すところはただひとつ。
『女に生まれたというだけでその才を
紅珠が祓師塾の中でもずば
紅珠は『紅珠』として生きることを許される唯一の道を得るために、明仙連を目指した。
それが全てだったからこそ、紅珠はどんなに小さな『負け』も己に許すことはなかった。
負ければ
だから紅珠は
──自分で言うのもなんだけども、その
紅珠は己の半生を振り返り、内心で深く
同時に、
──とはいえ、
祓師塾における紅珠の成績は、確かに文句のつけようがないくらいに優秀だった。歴代で比べてもかなり優秀だったという自負があるし、現に祓師塾の師達も紅珠にそういった評をつけていた。
そうでありながら紅珠が己の立場を
その『男』というのが、『いけ好かない
そりゃあもう、いけ好かなかった。入塾当初は何から何までいけ好かなかった。
『首席入塾』という紅珠の
面白くないならば、真正面から
そう考えた紅珠は、同期の誰もが最初から『特待生様には
そんな紅珠の存在を、涼の方も面白く思うはずがない。最初は大して相手にもされず、無視されるか、あっても皮肉が一言だけ、というような対応をされていたが、
無視であろうが、正面から喧嘩を売ってくるようになろうが、紅珠にとって涼が気に入らない存在であるという事実は変わらない。涼にとっても、紅珠は
そんな関係にあった紅珠と涼が揃って無事に
──戦友……好敵手……うーん、相棒、かしら? 最終的には。
祓師塾卒業
──
座学でも、実技でも、その他
ちなみに勝敗も五分五分だった。紅珠としては『ま、私の方がちょこっとだけ優勢だったけどね』と見栄を張りたいところではある。まあ、そんな発言を涼に聞かれたら『いーや、俺の方が微妙に優勢だったな』と返されるに違いないが。
──そういえば、私が涼を嫌厭しなかったように、涼も私を『女』って理由で嫌厭することはなかったわね。
そこだけは評価してやってもいいと思うし、ありがたかったと思っている。
周囲が思わず一歩引いて見守ってしまうくらい紅珠と激しくやり合っていた涼だが、男だ女だとそこにツベコベ文句を言ってくることはついぞなかった。男女の
──まぁ、そうね。入塾当初は私も、『女だから』って
思い返せば、入塾初日に紅珠が突っかかって以降、お互いずっと本気で張り合い続けてきた。不本意ながら、涼がいたからこそ、紅珠の実力はここまで
入塾当初は『負け』に常に
いけ好かない腐れ縁。いつか絶対に自分が
対角に立てば
一年と少し前まで、自分達はそんな関係だった。
紅珠の認識としては、そんな感じだ。
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