壱①
そもそも、だ。
呪術師という仕事は、
そんな限られた人間しか就けない特殊技術職でありながら、呪術師はどこでも必要とされる存在だ。
『
そんな中、特殊技術職である呪術師は生まれながらの才がどうしても必要であるため、例外的に女にも仕官の門戸が開かれている。
つまり、宮廷呪術師という職は、
だがそれゆえに、その座を目指す女には、祓師塾
黎紅珠は、それを承知の上で、それでも宮廷呪術師組織・明仙連の呪術師になるべく祓師塾の門を叩いた人間だった。
理由は
そこにしか紅珠が『紅珠』として生きていける道がなかったからである。
──『名門武官一族』って言えば聞こえはいいけれど、中身はただの頭が固い人間の集まりったらありゃしない。
黎家は代々武官を
父に似れば武才に
ただ、逆は求めていなかったのだ。『男は男らしく、女は女らしく』と前時代的で
だが往々にして現実とはうまくいかないものである。残念なことに彼らの息子達は、武術的にも呪術的にも飛び抜けた才を示すことはなかった。
両親の才を総取りして数段
──そこで『よし、ひとつここは考えを改めて、息子じゃなくて娘に期待してみよう!』っていう考えになってくれていたら、私の人生もちょっと
簡単には考え方を曲げないのが、堅物一族の堅物一族たる
両親を筆頭にした一族の人間が紅珠に課したのは、才の
【女として生まれたからには、女らしく生きてもらわなければ】
【娘であり、妹である紅珠は、兄達よりも
【決して出しゃばらず、両親と兄達の言うことを大人しく聞き、黎家の娘として生きていけ】
そんな
──ここで私が折れていても、今の私はいなかったわね。
そんな言葉にさらされ続けた紅珠は、ある日泣くことをやめた。ちなみに
十一歳の夏のこと。
その日もその日とて『女たるもの』とネチネチと
「
あの時の自分はきっと、それはそれは『女らしい』美しい顔で笑っていたのだろうと紅珠は思う。
もっとも、声は実に黎家の武人らしい、ドスが
「ひとつ、私と
秋になれば、祓師塾が入塾試験を行う。数年前から兄達は
その試験を自分に受けさせてほしい。
もしも入塾試験に落ちたら、紅珠はもう二度と一族の方針に逆らわない。大人しく
だが万が一、紅珠が祓師塾に入塾することが
「私が卒業するまで、ツベコベ言わずに、私が挙げてくる成果を見届けろ」
そんな一世一代の大勝負を父に
『女が受験したところで』『兄達だって毎年受験して合格できないのに』という一族の冷たい視線を
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