第4話 願いが叶う羽根ペン
僕らは小さくなった天狗を囲み。
バクバク残りのポテトを天狗と食べ切った。
「人間の食べものも悪くないな。
それになんだ、このコーラー最高。ゲプ」
「天狗、行儀が悪いぞ。
それになんだよ。僕のコーラー勝手に飲んで!コラ。コラ。」
「サイ、かたいこと言わなくてもいいじゃないか?サイと高貴な天狗様の仲だろう。」
カイトが「へえー、お前達2人、そんな仲だったんだな。」
キリも茶化す。
「だから、天狗は白い羽根ペンになってサイのところに飛んで来たんだな。」
「ちょっと待ってキリ。僕は特別に天狗と
仲がいいわじゃないぞ。
去年の春休みに会って以来だ。」
カイトが真顔で「そっか。」キリは笑ってる。「冗談だ。」
僕は残りのコーラーをズルズルっと飲みほして、「天狗、今更だけどなんであの時、
僕らに不思議な力をくれたんだ。」
「なんとなくだ。木の上から見ててなんとなく
3人楽しそうだっし。UFOには勝てないが、
僕の力も凄いぞってとこ、見せたかったかもな。何せ俺様は高貴な天狗だからな。」
「じゃあ、そんな高貴な天狗が、自分の大切なうちわ、白カラスに取られるか?」
ちょっと意地悪にカイトが聞く。
天狗が「あの白カラス、友達いないんだ。
周りは真黒のカラスばっかり。
遠くの木の上からのいつも見ていたが、
いつも白カラスは一羽でいた。
だからさ、白カラスが話しかけてきた時は
なんか、うれしかったんだ。
この高貴な天狗様もいつも1人だったからさ。
友達になれたらなとちょっと油断した。」
キリが「逆に僕は天狗に同情するよ。
天狗も寂しかったんだよな。」
脳内で『そう、だな。』『だな。』
僕らは脳内でハモった。
「でもさ、その白いカラスは、しばらく貸してくれって言ったんだよな。
そしたらやっぱり借りただけじゃないのか。」僕は言った。
カイトが「あのうちわってどんなことができるんだ?」
「あー、あのうちわは、大風を起こせる。」
僕は思わず。「えっ?それだけ。僕たちにかけた不思議な力、口で話さなくっても脳内で話せる力とか、そんな不思議な力はないの?」
「もちろんあるさ。でもそれはこの高貴な天狗の俺様だけが使える不思議な力さ。
俺様以外で使えるのは大風ぐらいかな。」
「なーんだ。それじゃあ、単なる大きなうちわと同じだな。」
天狗は怒って机の上をピョンピョンと跳ねた。
「君達はわかってないな。どれくらい大きな風が吹くと思うんだ。
天狗のうちわは大きな船を沖まで風で運べる。カラスの大群を一気に蹴散らかせるくらいの大風を出せるんだ。使い道は色々だ。」
キリが「話を聞くと納得。大風は使い道によっては確かにすごいぞ。」
「だな。天狗。僕は君がだまされたと思わないよ。きっと白カラスにも事情があるんだろう。」
「そうだな。」キリが言う。
「それに、自分の大切な願い事が叶う羽根ペンを天狗に預けたりしないさ。
大丈夫。きっとしばらくしたら白カラスは戻って来るさ。」僕はそう言いながら手のひらに天狗を乗せた。
そして「では、天狗と白カラスの話は少しおいといて、今は目の前にある願いが叶う羽根ペンだ。さっき『雨』ってかいて雨が降って来た。試しにカイト何か願い事を書いてみろよ。」
「そうだな。もう少しポテトが食べたい。」
僕は「天狗。羽根ペンの姿に変身してくれ。」
「はい。はい。」と変身した。
カイトが『ポテト』と空書きした。
とたんにファーストフード店Wの店員さんが
スマイルと一緒にポテトを運んできてくれた。「おめでとうございます。レシート番号777で
ラッキー賞です。ポテトLサイズ無料です」
とカイトに届けてくれた。
3人顔を見合わせて「これって?」
「じゃあ。今度は僕。」
キリが空書きで『コーラー』と書いた。
「お客様様。この席23番は今日はコーラーDAYです。無料でコーラー飲み放題です。」
カイトが「すごいな。キリのコーラーも願いがかなった。この羽根ペン、間違いなく願いを叶えてくれるペンだ。」
僕らは少し興奮した。魔法のような羽根ペンが目の前にある。
僕らはバーガーの追加オーダや飲み物。大量に8回ほど注文してしまった。
もっと冷静に考えると、女子にモテるとか。
大金持ちになりたいとか。
もっと非日常なことを願えばいいのに僕らは、
やっぱり高1だ。
UFOを見つけようと裏山に上った、ただの少年だ。
僕は我に返りふっとおかしくなって笑ってしまった。
願いごとなんて無限にある。
もっともっとと思うが「カイト、キリやめるぞ。願い事はストップだ。やめることも大事だ。」
「だな。」「そうだ。」
願い事は途中でやめるくらいでちょうどいい。願い事は忘れるくらいでちょうどいい。
中途半端だが途中で降りることも悪くない。
僕の脳内の考えを2人が共有する。
しばらく日がたった。
春休みのある日。
僕らは再びファーストフード店Wに来た。
僕はポケットから羽根ペンを取り出し。
「天狗出てこい。」
「ポコン。」っと小さい天狗が現れた。
僕ら3人、天狗を囲んだ。
天狗は、「昨日、白カラスがうちわを返しに来たんだ。」
「それはよかったんじゃないか。
それで、白カラスは何をしたんだ?」
「白カラスの住処の神社で春のお祭りがあるそうで、その日はみんなが楽しみにしてるから絶対晴れにしたいと4日前から神社の上空で、
冬の残りの雪雲と風対決してたらしい。
さすがに4日目には冬の雪雲は根負けして北の奥のもっと北の空まで風で飛ばされ逃げていったんだってさ。
それが今日。5日目今日が白カラス神社の春祭り。晴れだ。」
僕らは天狗の話を聞いて
『めでたし。めでたし。』と3人で頷く。
しかし「あれ?どうして天狗は元の姿になってないんだ?
どうしてまだ羽根ペンなんだ?」
天狗は「まだあと1個残ってる。願い事はの回数10個全部、願いきるまで元の姿には戻れないみたいだ。」
カイトが「なんだよそれ。
なんか食べ放題のルールみたいな。
食べ残しするなみたいな。変なの。」
キリが「あと1個か。願い事ね。」
僕は、僕ら3人は『そんなんの決まってるじゃん。せーのっ!』
「サイ、空書き頼む。」カイトとキリがハモる。
「任せろ。」
僕は天狗の変身した羽根ペンで『天狗よ。元の姿で裏山へ帰れ。』と書いた。
次の瞬間。店内なのに大きな風が吹き、入口のドアが大きく開いた。
『じゃーな。諸君。』天狗の声。
「帰ったな。」「そうだな。」「そうだ。」
ハッピーエンド
天狗の力・かりまーす 京極道真 @mmmmm11111
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