EP.12 Marry end⋯.

----------エラーを修復しました----------


----------キリトリ線----------


僕は琴奈ことなに言う。

言う、というよりは、叫ぶ、の方が近いかもしれない。

土岐ときさんは、君にそんなことをしてほしいと思ってるの!?」

「うるさいうるさいうるさい!」

その言葉を聞いても、琴奈は動きを止めない。

みのるさんにはわからないでしょ!いじめられて、自分のせいじゃないのにそうって思い込んで、私にも相談せずに、何も言えずにたった1人で自殺したあの子の気持ちなんて!あんたには!わかんないでしょ!」

そして、

「実くん!」

「…!」

琴奈を抑えてくれている三谷みたにさんの、切羽詰まった声がした。

いつもどこか余裕そう(なんて言ったら失礼だけど)な三谷さんがそんな声を出すのは、滅多にない。

…それこそ、「間に合わない」とかじゃなければ。

僕がまたバッドエンドを想像したところで、ありえないことが起こった。


〈琴奈ちゃん〉


「「「「…え、?」」」」

「…は、?」


琴奈が話し出す。

「い、おり、?」

そう、間違いない。

その声は、土岐さんのものだった。

ありえない。

だって、土岐さんは、もう。

〈わたしは、琴奈ちゃんにそんなことしてほしくない。だから、もう、やめよう?わたしは、みんなに笑っていてほしいな〉

琴奈は手に持っていたを落とす。

からん、と軽い音がした。

それから、久里くり陽登はるとに駆け寄る。

「…お姉ちゃん、陽登さん」

「「〈…〉」」

「2人がいじめをしたということは変わらない。でも、私がしようとしたことも許されることじゃない」

その場にいた全員が、黙って琴奈の言葉を聞いていた。

「…だから、依織の分まで生きて、罪を償ってほしい。お姉ちゃんも、陽登さんも、依織の分まで、生きて、っ…」

気付けば琴奈は涙を流していた。

夢羽ゆめばさんが言った。

「それじゃあ、帰ろっか。みんなで、一緒に」



僕たちは校門前に辿り着いた。

2人最後に残った時、何となく嫌な予感がして、琴奈に言う。

「琴奈ちゃん、先に出ていいよ」

琴奈は少々戸惑っていたけれど、「実さんがいいなら」と言って先に出た。

そうして僕を最後に全員が出て、琴奈が鍵を閉める。

それから言った。

「また明日」

優しくふんわりと、久里にそっくりに微笑んで、僕は一瞬ドキッとした。

「どうしたの?おいてくよ、実」

久里が笑って声をかけてくる。

僕は慌てて言った。

「あ、待ってよ、久里!おいてかないで!」

それから見慣れた地面を蹴った。

…久里の笑顔は、夜空に輝く星のようだった。

なんて、明け方の晴天の下で思った。



Marry end⋯.

      【望むこと】




…それは、生きることだから。




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