好奇心

はすみらいと

好奇心

 誰にも言えない秘密があった。部屋にある自分の机の引き出し、いや、正確には一番上の引き出しを開けると、少し先の未来が見えるというかみれるのだ。


 気づいたのは。


 テスト勉強で疲れていて、コンビニにのり天を買いに行って。帰宅し机の上でのり天をぶちまけ、のり天が踊るさまを凝視して深いため息をついたのを覚えている。片付けた後、引き出しを上げた、まさに、その時のことだったように思う。

 引き出しに、テストの答えを書いてる自分が映っていた。しかし、当時はテスト勉強の疲れで幻覚が見えていたのだと思い閉めた後、ベッドに寝転んで数分で寝た。

 ところがだ、その引き出しをみると毎日そこに、何かしらの未来が映っていた。もちろんその時は、幻覚だと思っていたわけで。それでもテストの日は訪れ驚いたね。だってテストの内容は、あの時、見たものそのものだったんだから。

 それから僕は引き出しに映る未来を見るのが日課になった。けど、誰にも言わなかった。だって友達や親は言ったって幻覚だと決めつけ、病院に連れていかれることが容易に想像できたし、ひとり占めしたかったんだ。


 これが今までの話。でもと思う。今は恐ろしくて仕方ない。だって映ってたんだ、僕の死ぬ未来が。ああ怖い。

 死にたくない、生きていたいなのにこいつは僕を死ぬと告げる。言い知れぬ恐怖が体を這う。そして部屋の片隅で膝を抱えて目をつぶる。暗闇だけが僕を支配した。

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