消える……残す
- ★★★ Excellent!!!
鉤の知恵の輪が外れぬようでそれが〝理解った〟瞬間、脱力するように、読了した瞬間、深い溜息が漏れた。これは凄い、と。
盲人の娼婦・砂霧の話を訊く〝物書きの先生〟、砂霧の身の上話を聞く内に読者は同情するだろう。
しかしながら、それは徐々に不穏なものになっていく。
自身を見受けする者が現れる頃には砂霧が……これ以上は私の口で説明するよりもそのおぞましきものを自らの眼で確認して頂いた方が背筋に悪寒が走るであろう。
本作で描かれているのは〝消える〟という事だ。食べ物は〝消える〟、一夜限りの関係も〝消える〟、しかし、それが出来ないとなると――。
物書きの先生も存外〝ひどいひと〟である。
かつて土蔵の中で物語を紡いだ乱歩を彷彿とさせるようなおぞましきものではあるが、今作は引けをとらぬものと確信している。是非とも御一読を。