第17話 ユニット結成


オーディションから数日後、なじみは智香から声を掛けられた。

「引っ越しの準備をして。これから寮生活してもらうわ。」



なじみはちょっと驚いたが、契約書に「寮生活をすることがある。」と書いてあったので、まあそうかな、と納得した。


なじみの母も納得してくれた。やはり娘の夢を応援したいという考えは強いのだろう。


もともと荷物はあまりない。服と教科書や本くらいだ。


引っ越しといっても、荷物があまりないので、結局当日甘楽がタクシーで迎えにくることになった。



甘楽となじみが乗ったタクシーが着いたのは、甘楽が住んでいるマンションだった。


「え~、どういうこと?」なじみが聞くと、


「メンバーで共同生活をしてもらうのさ。」甘楽が答える。


エレベーターに乗り、着いたのは甘楽の部屋の隣だった。


その部屋は大きな4LDKで、ソファ、大型テレビがリビングにある。

また、広いダイニングテーブルがアイランド型キッチンの横に置いてある。


4つのベッドルームにはすべてセミダブルのベッド、机と椅子、本棚、クローゼット、化粧台などが備わっている。


風呂の浴槽は大きく、二人でもゆったり入れそうだ。

脱衣かごや洗濯乾燥機もそろっている。


パントリーを開けると、タオルや洗剤などが入っている。


キッチンには大型冷蔵庫やオーブンレンジ、トースターや食器洗い機が揃っている。


特にすべての部屋にウォークインクローゼットがあるのには驚いた。


ベッドルームは一つだけ大きく、そこにはシャワーとトイレが別についている。



「生活に必要なものは一通り揃っているはずだ。 欲しいものや足りないものは言えばある程度は手配してくれるはずだ。」


甘楽が説明する。


「あと、部屋割りは自分たちで決めてくれ。」


なじみは意味が分からない。

「あの、部屋割りって? 誰が一緒に住むの?甘楽じゃないよね?」


「俺はご存じの通り隣だ。シたくなったら来ればいいぞ。、」


「じゃあ、誰が…」s


その時、玄関のチャイムが鳴る・


「お、来たな。」


甘楽がドアを開ける。


「揃ったわね。」

そう言って智香が入ってくる。


智香に続いて、二人の少女が入ってきた。


「え~!」なじみは驚いた。


「ナージャ、久しぶりですね。」

長身で黒髪ロングの巨乳少女、小島 爽香(さやか)が入ってきた。


「ナージャ~ボク、会いたかったよ~」


そう言って、小柄な少女がなじみに抱き着いてくる。

 オーディションで会った、山田杏奈だ。


「積もる話もあるでしょうけど、それは後にしてね。ここがあなたたち3人の寮よ。

これから共同生活をしてもらいます。」


智香がいう。


「細かいことはこの書類を読んでね。あと、私と甘楽は基本的に隣に住んでるから、何かあったら声を掛けてね。じゃあ甘楽、あとはよろしく。」


そう言って智香は出て行ってしまった。


甘楽は自己紹介する。


「淀橋 甘楽です。上新智香の親戚で、野間奈美、本名野島なじみの同級生です。

写真やビデオ、ウェブなどをいじるクリエイターでもあります。よろしく。」


「え~。ナージャって野島なじみって言うんだ!ボク、知らなかった。」


アーニャが驚いたように言う。


「その辺はおいおい。」なじみは軽く言う。


甘楽は全員に鍵を渡し、マンションの入り方や鍵の締め方などを説明する。


「17時まで自由時間だ。それまで部屋で過ごしてくれ。あるものは自由に使ったり食べたりしていい。17時に外出するので、忘れないように。」」


甘楽はそう言って出ていった。


そのあとすぐ、爽香と杏奈の荷物が届いた。

段ボールが部屋に積み上げられる。


三人は顔を見合わせる。


まず、世話焼きタイプの爽香が発言する。

「いろいろお話はあるんだけど、まずは部屋割りね。一部屋だけ大きいみたしね。」


「じゃんけんで勝った順番に好きな部屋を選ぶんでいいよね~」

ボクっ娘の杏奈が言う。


「じゃあじゃんけんしましょう。最初はグー、じゃんけんぽん!」



爽香の声でじゃんけんになった。


なじみの理解のペースをはるかに超えるスピードで部尾が決まっていく。


なじみもあわててじゃんけんでグーを出すが、二人はパーだった。


「ナージャ、後だしで負けるってどういうこと~」杏奈が笑って言う。


「あ、あの…」なじみはついていけない。


爽香がじゃんけんに勝った。


「私はここにするわ。」そう言って、2番目の部屋を選んだ。


一番大きい部屋ではない。

「あれ、なんで大きな部屋にしないの?シャワーとトイレもついているのに。」


杏奈が不思議そうに聞く。


「お掃除の問題よ。たぶん、共同生活で自分たちでお掃除することになると思うの。

そのとき、自分の部屋は自分で掃除するよね。


シャワーとトイレをお掃除する手間が増えるもの。 たぶん、シャワーを浴びられるとしても、バスタブに入りたいから、お風呂掃除も当番でやるんだと思う。


そしたら、共同のお風呂やトイレと、自分の部屋のものと両方掃除するの手間でしょ。」


「じゃあ、ボクもその隣の部屋でいいや。おっきな部屋はナージャにあげる。」

杏奈もそう言って自分の部屋を決めた。



なじみは、

「私、大きな部屋にさせてもらうわ。掃除は得意だしね。」


「あ~ナ-ジャ愛してる~ボクの部屋も掃除して~」


「こらこら杏奈。だめでしょ。」

爽香が嗜める。


「爽香ってお母さんみたいね。」なじみが笑う。


「え~同い年なんだからやめてよ~」

爽香が文句を言う。


「でも、三人並ぶと、170,160,150って感じだから、なかなかそれっぽいよね。」


杏奈が笑いながら言う。

なじみもそれに乗っかる。


「じゃあ、背の順で、おばあちゃん、お母さん、孫娘かな。」


「さすがにおばあちゃんはひどいよ~まだ彼氏もいないのに~。」


爽香が文句を言う。


「ねえ、まずは荷ほどきしましょう。」なじみが提案する。


「そうね。」「さんせー」二人も賛成したので、とりあえず各自、自分の部屋と決めたところに入る。


なじみは、荷物のスーツケースを開け、服をクローゼットに掛けて本棚に本を並べる。


荷物が少ないので、すぐに終わってしまった。



オリエンテーション資料を読み始める。


共同生活として、自分たちで掃除、洗濯、ゴミ捨て、などを行うこととなる。

食事については、夏休み中は原則として甘楽が用意する。


ただし甘楽の都合が悪いときは事前に準備するので自分たちで食べる。


門限は特にないが、外部の人間は親を含めてロビーまでとする。


部屋に入れるときは、事前に事務所の承諾を取ること。


夏休み中はレッスンがあるのでそれを最優先。

あと、なじみは宿題を終わらせること(既に終わっていた)。


今後は外出するときはマスクと帽子がデフォルトになる。


全員のスマホにタクシーアプリを入れるので、それを使えばいつでも無料。

私用で出かけたとしても、タクシーを呼んで構わない。


生活に必要なものは甘楽に言えば手配する。

やむを得ず自分で買う場合、必ずアムール(事務所)宛ての領収書をもらい、あとで甘楽に渡すこと。


化粧品も今後は事務所で支給するので銘柄を指定しておくこと。


その他の当面の生活費としてQRコード決済で一時金を渡す。


仕事用のスマホも渡すが、ここには仕事以外のプライベートな事項は入れないこと。入れないこと。


パソコンも支給するが、持ち歩きは禁止。



(本当に至れり尽くせりね。これが芸能人の生活ってことなのね。)

なじみは思う。


他の二人も荷ほどきが終わった。


「ボク、東京初めてだから案内してよ~」

杏奈が言う。


「今はダメでしょ。そのうちね。」

爽香が嗜める。


「ねえ、多分、私たち三人でユニットを組むのよね。グループ名はさておき、ナージャだけ愛称なのはどうかなと思うの。」


爽香が言う。


「じゃあ、ボクはアーニャだね。」杏奈が言う。。


「私は…サーヤ、じゃないサーシャね。」爽香も言う。


「揃ったね。アーニャ、ナージャ、サーシャだね。」なじみが言う・。


「何の順番?」爽香が聞く。


「背の順番のつもりだけど。」なじみが答える。


「うーん、何か納得がいかないな。体重の軽い順番とか?」杏奈が言い返す。


「何よそれ。なら胸が小さい順番でいいじゃない。」爽香が反論する。



「それなら私が最後じゃない?」なじみも参戦する。


「えーい、この牛女たち、黙れ~!」杏奈が二人の胸をぽかぽか叩く。


みんな笑顔だ。


「ねえ、あの甘楽って男の子、スタッフさん?」 爽香が聞く。


「スタッフというか、プロデューサーの上新智香さんの従弟ね。

私たちと同じ年で、私のクラスメイトよ。」


「そうなのね。だから仲良しなのね。」爽香が言う。


「ま、それだけじゃないけどね。」なじみが含みを持たせる。


「え~気になる。彼氏なの?」杏奈が聞いてくる。


「違うよ。そのうち教えるね。それより、家事の分担決めよう。とりあえず掃除ね。」

なじみが話を逸らす。


「まあ、今はそらされてあげる。自分の部屋は自分でやるとして、台所、リビング、トイレ、お風呂の掃除ね。

リビングはロボット掃除機を走らせればよさそうね夜中に走らせるなら問題ないわね。じゃあお風呂とトイレとキッチンかな。」


「お風呂は入れる前に荒えばいいよね。」杏奈が言う。


「うーん。普段はそれでいいけど、月に一度はカビ取りしないと。」なじみが言う。「


「え~ボク天井届かないよ。」杏奈が言う。


「脚立があるから問題ない。」爽香が答える。


「ねえ、こういうの当番表だよね。ホワイトボードで書く?それとも紙で作る?画用紙と糊がいるね。」杏奈が楽しそうに言う。


「じゃあ、画用紙と糊とマジック、あとは小型のホワイトボードくらいかな。甘楽くんに頼もう。画鋲使っていいのかな?」爽香が言う。


「やっぱりサーシャがまとめ役だね。お母さんみたい。」なじみが言う。


「お姉ちゃんと呼びなさい!」


「ママ~」

「こら、どさくさにまぎれて胸をもむな!」


そうこうしているうちに、17時が近づく。


「あ、着替えなきゃ。」爽香が言う。


「ボク、サーシャはそのままでいいと思うよ。」


「甘楽くんがくるんでしょ。男の子と会うんだから、ちゃんとした所を見せないと。それがアイドルとしてのたしなみよ。」


そんなものかな、となじみは思う。


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こんにちは、お急ぎですか。

〇〇〇〇が戦えと言ってる。


作者です。

第17話をお届けします。


意外に杏奈がしゃべってる。

爽香がも仕切ってる。

3人、仲良しで共同生活です。


続きは…待つ間に★や??でもつけてくださいね(笑)


お楽しみいただければ幸いです。

ハート、★、感想いただければ幸いです。

特に★が増えると作者は喜びますので、まだの方はお気軽にお願いします。








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