第5話 変わるもの、変わらないもの。


月曜日、甘楽はちょっと早めに登校した。

なじみのことが少し心配だったからだ。


待っていると、なじみは、大体クラスの半分くらいが来た頃にやってきた。


「おはようございます。」

なじみが誰にともなく挨拶する。

猫背の普段と違い、今日は背筋が伸びている。

ただ、髪ががとかメガネはス段のままだ。


あまり誰も反応しないので、甘楽は

「おはよう。」と返事した。


なじみが席に着くと、スクールカースト上位の派手目なクラスメイト、樺山成美(かばやまなるみ)が馬鹿にしたように声を掛けた。


「珍しいじゃない。地味子が挨拶するなんて。」


樺山は濃い化粧をして、髪は茶髪のセミロングでに整えている。

たぶん、朝起きてからこの格好をするのにはそれなりに時間がかかるだろう、と思わせるような外見だ。


普段ならおどおどして「ごめんなさい」とか言いそうなところだが、今日のなじみはちょっと違った。


「あら、挨拶してはいけなにの? それに、私、その呼び方好きじゃないのでやめてもらえます?」


なじみがはっきり言う。

樺山は驚いたようになじみを見る。


「何、地味子でいいじゃない?好きに呼ばせてよ。他の人もそう呼んでるし。」


「じゃあ、私も、他の人が陰て読んでいるように、あなたんことは「キャバ山ケバ子さんって呼ぶわ。」


見守っていたクラス全体が爆笑した。


「な、何よ!適当なこと言わないでよ!誰かそんな事言う奴いるの?」


なじみは「ええ。誰とは言わないけど。」

そう言ってちらっとある男子を見る。


そこにいたのはお調子者の男子、織田通だった。


「こら織田、お前そんなこと言ってるのか?」

怖い顔で樺山成美が詰め寄る。


化粧している顔が般若のようになっている。


「と、とんでもない。キャバ山ケバ美なんて呼んでないよ。」

織田は必死に否定する。


横から甘楽が突っ込む。

「なんて呼んでるんだっけ?」


「ケバ山キャバ美だ。…あっ!」


クラス全員が大爆笑した。


怒りに真っ赤になった樺山が言う。

「こら地味子と織田!覚えてなさよい!」


「ケバ山キャバ子さん、覚えていろ、ということは復讐するのですか? 暴力ですか?

それともいじめ? 私のものを隠したりするんですか?」


「…」


「クラスの皆さんにも宣言します。私は樺山さんの嫌がらせには屈しません。

何かあれば、学校および世間に事実を発表します。


何かあれば、樺山さんが関わっていると言うことで、どこまでも追及します。」


「うるさい!」

そう言って樺山は鞄を持って教室を出ていった。


なじみは教室の皆を見て言う。


「あと、これはお願いですが、地味子と言うのも辞めてもらえればと思います。

どうせなら楽しく毎日を過ごしたいと思います。よろしくお願いします。」


そう言って、なじみは頭を下げた。


思わず甘楽は拍手していた。よく言った、と思ったのだ。


すると、クラスの半分以上が拍手する。

していなかった人間まで、慌てたように拍手に加わる。


「ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。」


なじみはそう言って礼をした。



甘楽は感心する。


小柄な織田が甘楽のところにやってくる。

「おい淀橋、ひどいじゃないか~」


「え?俺が悪いのか?」

甘楽がすっとぼける。


「あそこで黙っててくれれば…


「どうなったって?」


「ケバ山に目を付けられずに済んだのに…。」


「その分、野島さんを犠牲にしてか?男らしくないぞ。


お前の好きなナントカちゃんの好みは、男らしい男だって云ってたろ?>」


「まあ、そうだけどな。でも、カナちゃんはグループ卒業しちまったからなあ。今は押しがいないんだよ。」


織田は自他とも認めるアイドルオタだ。甘楽が言う。

「そうか。新しい押しが見つかるといいな。」


「おお、噂では新しいオーディションもあるみたいだからな。期待してるよ。」

そう言って織田は席に戻る。


「あれ? 俺何しに行ったんだっけ?」

織田が、甘楽にうまくごまかされたことに気づいたときには、もう始業時間だった。


結局樺山は戻らない。


甘楽は、なじみにGJ! というスタンプを送ると、 「やったね!」というスタンプが返ってきた。

中身は少し変わっみたいだ。。外見は地味子のままただし、猫背はなくなった。

新しいなじみの一歩だな。甘楽は思う。



その日の放課後、皆が帰宅した後、なじみの机をいじっている女子が二人いた。


クラスメイトで、樺山の腰ぎんちゃくと言われている古池恋と軽部かりんだ。


背が高い古池と、小さい軽部の凸凹コンビだ。


「置き勉してる教科書とか破っちゃおう。」

「ノートに落書きするのもいいよね。」


「ペンケースの中身全部抜いちゃおうか。」


「生意気な地味子をいじめて、成美のせいにできるって最高ね。」

「一石二鳥ってこのことね。」


二人は悪い顔をしながら楽しそうにしている。


突然、男子の声がした。

「へえ、お前ら、樺山の取り巻きなのに、樺山のこと嫌いなのか。」


「「え?」」

」二人が声の方を見ると、そこにはスマホを持った甘楽がいオタ。


「なんだ。淀橋か。あんた、今のこと黙ってないと、クラスでシカトするわよ。」

「あんたもやんなよ。同罪で仲間になろう。」


甘楽の雰囲気が級に変わる。

普段のおとなしい男子ではない、狼の顔だ。甘楽は低い声でドスを効かせる。


「お前らが樺山と争うのはどうでもいい。野島を巻き込むな。」


2人は黙っている。甘楽は続ける。


「もし、野島に何かしたら…」


「…どうするの…」軽部がおそるおそる聞く。


甘楽の声がさらに低くなる。

「…生まれたことを後悔させてやるよ。


「!」」


二人の背筋が凍る

甘楽は続ける。


「野島に何もないように、お前たちがちゃんと押さえろよ。

直接お前らが手を下して無くても、お前らも同罪だ。


校舎の窓から全裸で逆さ吊りくらいで済むと思うなよ。」


「「!」」


二人は今度こそ真っ青になった。

がたがた震えながら何とか首を縦に振る。


「よし。まだ何かあるなら、今言え。。後からわかったら…」


「まだ何もしてません!」小さいほうの軽部が叫ぶ。


「そうか。ちなみに、お前らの行動は動画に撮ってあるからな。裏切るなよ。」


甘楽がスマホを再生する。」」


「ノートに落書きするのもいいよね。」


「ペンケースの中身全部抜いちゃおうか。」


「生意気な地味子をいじめて、成美のせいにできるって最高ね。」

「一石二鳥ってこのことね。」


二人が絶望的な顔をする。

「じゃあ、よろしくな!」


甘楽は普段の雰囲気に戻ると、二人に背を向け、ひらひらと手を振りながら教室を去っていった。


「あいつの目、ヤバkかったね。」「絶対裏社会とつながってるよ。私、まだ普通の生活したい。」

「私もよ。」

二人は、誰もなじみに手を出させないことを誓うのだった。




それから週に1-2度、なじみからメッセージが来るようになった。


内容は

「こんにちは。明日また撮ってもらえますか?」」


まあ、直接的な表現ではないが、要求は同じだ。


そのたびに甘楽は帰宅し,着替えたうえでカメラを持って出かける。


一方、なじみは最初から着替えを持っていて、途中のトイレで着替え、合流してラブホテルへ入る。

それを二度繰り返したあと、試しにということでなじみのアパートにも行った。


それはそれで刺激的だったが、なじみの体が文字通り甘楽に馴染んで来たため、近所に声が聞こえそうで、あまり楽しめなかったため、、結局ラブホテルに戻った。


 甘楽は、なじみのダサ服、下着姿、全裸と写真を撮りまくる。

その後はビデオに切り替えて二台のカメラで撮る。


帰宅してから二つのビデオをシンクロさせる作業もある。


回数を重ねるごとに、なじみはより大胆になり、また感じ方も激しくなった。

それに、綺麗な顔だちがはっきりして、肌にも艶が出てきた。


セックスをすると綺麗になる、と言うのは本当なんだ、と甘楽は感心した。


ただし、学校ではなじみは極力目立たないようにし続けた。結局外見は地味子のままでいたいというのがなじみの意向だった。


プールの授業もあったが、ダサい度付きゴーグルとキャップ、ラッシュガードでごまかしているので、目だたないで済んでいる。


放課後に着替えたなじみを見つけたクラスメイトの軽部と古池が。なじみを盗撮して尾行しようとしているのを甘楽が見つけ、かなり本格的に脅したこともある。


期末試験の終了後、ベッドの中で甘楽が聞く。

「テスト、どうだった?」


「手ごたえばっちりよ。やっぱり、毎日だらだら勉強するより 時々エッチして気合を入れるほうが私には合ってるみたいね。」


「お、おう…」


結果が戻ってきた後の逢瀬では、なじみが全裸でテストの結果、学年2番を掲げてドヤ顔をしている写真を撮る羽目になった甘楽は、内心で(随分と変わったなあ)と苦笑するのだった。


そして、夏休みがやってくる。



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こんにちは、お急ぎですか。

キラキラだ~


作者です。

第5話をお届けします。


なじみと甘楽はこれからどうなる?

続きは…待つ間に★や??でもつけてくださあいね(笑)


お楽しみいただければ幸いです。

ハート、★、感想いただければ幸いです。

特に★があると作者は喜びますのでoお気軽にお願いします。








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