ナナたん ケントくん 4
オカン🐷
第1話 🔨カナヅチ
「ルナ、ここでいいですか?」
「サンキュー、ボビー」
「どういたまして」
「誰? ボビーに変な日本語教えたの」
ビニールプールを置きに来たボビーの褐色の肌はプールサイドによく生える。
ルナが水を貯めていると、今度はマナとエナを両腕に一人ずつ抱きかかえやって来た。
マナは黄色の水着にオレンジの帽子。エナはオレンジの水着に黄色の帽子を被り、帽子には白い花飾りがついていて愛らしい。
「あらあ、やっぱり逞しいわね」
デッキチェアに寝転んでいたママは立ち上がるとボビーの筋肉質な腕をペチペチ叩いた。
「ママ、それはセクハラですよ」
「軽い挨拶じゃない。セクハラ、セクハラってルナも騒ぎ過ぎよ」
マナとエナはボビーのほっぺたにチュをして、「チャンキュ」と言った。
「ほら、ルナの子どもたちだって」
「あの子たちは子どもだから」
ルナはそれ以上言うのをやめた。
ビニールプールにはアヒルのおもちゃが、グワッ、グワッと鳴きながら泳ぎ回っている。
プールサイドに祐奈と並んで腰をかけていたら背中に水鉄砲が命中した。
マナやエナにしては確実に芯を捉えてると思い振り返ると、
「カズさ~ん」
「アハハ、ごめん、ごめん」
「ごめんじゃないわよ。待ちなさい。祐奈さん、そっち行った、逃がさないで」
「よしきた」
大柄な祐奈が通せんぼする。
カズは人の奥さんにむやみに触れられずにいる。
躊躇して足が止まったカズはプールに突き落とされた。
「ゴボッ、ゲホッ、ルナちゃん、た、たす、ゲッホッ、ゲッホッ」
「カズはカナヅチなのよ」
ママの悲鳴がプールに響き渡った。
ルナはプールに飛び込んだ。
「カズさん、落ち着いて。ルナでも足が着くの」
カズはルナにしがみついて、ルナまでが溺れそうになった。
「カズさ…くるし…たす…ゲホッ」
抜き手を切って近付いて来た良雄がカズの身体を支え、ルナと祐奈に合図を送った。
「せーの」で良雄とルナ、祐奈は水中に潜った。
やがて、カズの力が抜けていって、良雄に体を預けた。
デッキチェアーに寝かされたカズを見下ろしてママが言った。
「まったく、この子ったらルナまで巻き込んで」
カズはボビーに担がれて寝室に運ばれて行った。
「まつぼっくり」
「やきいも」
ナナとルナミが囁き合った。
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