朝チュン

 目が覚めるとそこは見知らぬ部屋のベットの上だった。

 絨毯柄をしたカーテンの隙間から刺してくる朝陽を右腕で遮る。

 だんだんと視界が鮮明になり、辺りを見渡すと壁という壁に俺の肖像画が付けられていた。

「うわあああああああ…な、なんだよこれ」

 あまりにも異質な光景に思わず、戦慄してしまう。

 人の気配がし、後ろを振り向くと、そこにはあられもない姿で俺の腕にしがみついている少女がいた。

「んぅ…おはよ」

 少女はどこか恥ずかしそうに、白く透明感のある頬を紅色に染め、こちらへ向かってはにかんだ。

 艶かしく荘厳に輝く銀髪は太陽光を反射し、彼女の豊満な胸の頂を隠すかのようにたなびいている。

「れ、レイシア様ですか?」

 髪は乱れ、修道服も着ていなかったので一瞬誰だかわからなかったが、隣にいた少女はいつも通う教会でシスターを務めてらっしゃるレイシア ルドノール様だった。

「ふふっ、当たり前じゃん。私の可愛い可愛い旦那様は朝から元気いっぱいだね」

「な、なんで何も着ていないんですか?」

「……もぉー、わかってる癖に。…えへへ、ユーリヒくんのえっち」

 何だか嫌な予感がしてシーツを確認すると、赤いシミがついていた。

 一気に血の気が引いていく。

「レイシア様!も、申し訳ありません!…聖職者様の純潔を奪うだなんて、、昨夜から記憶が曖昧なんですけど、きっと俺が襲ったんですよね?」

「なんで謝るの…?私嬉しかったんだよ。君があの泥棒猫のことを忘れて、私だけを愛してくれたんだもん」

「な、何を言って?」

「……ずっと君のことが好きだったの!いつも街の人に優しくて、純粋で真面目な君が大好きだった。…だからずーっと跡をつけてスケッチしてたんだよ?」

 レイシア様は壁に掛けてある肖像画を取り、手渡してきた。

 そこには俺が街の子供たちに料理を教えている姿が克明に描かれていた。

 緻密な線が織り成す様は現実そのもので、狂気めいている。

「昨晩もいつものように君に黙ってスケッチしてたんだ。そしたらあの女が聖騎士と浮気し出して、、大好きな君が斬り殺されそうになったから私、銃で撃ったの。あっ、死んではないと思うよ?あの女が聖騎士のこと連れて逃げ去ったから」

 銃……聞いたことがある。

 確か東方の大帝国であるオズマンで使われている飛び道具だ。

「レイシア様は何を言って……」

たとえ、シスターだとしても聖職者に危害を加える者は異端、性行為をする者異端である。

あの信心深いレイシア様がそんな事するだなんて信じられなかった。

「ふふっ、君のその顔可愛いね。あの女の記憶も聖騎士も神様も全部忘れちゃお?……君には私がいる。これから、心も体も深く深く…私が堕としてあげる」

「そ、それは教義違反じゃ」

「一晩中…ドロドロに溶けて2人の境界線がなくなるくらい交わい、愛し合った仲じゃん。一緒に神様に嫌われよ?」


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