名もなき若者、乱世に志を刻む
- ★★★ Excellent!!!
桃の花が咲く楼桑村の春。
平凡な莚売りに過ぎなかった青年・劉備玄徳は、ある日、黄巾賊に攫われた少女を助けた。
その出会いをきっかけに、止まっていた日常の歯車がゆっくりと動き始める。
仲間の喧騒、先人の志、そして忘れかけていた夢。
皇統の血を引く少年が見つめるのは、
日々を費やすことに慣れた己自身への違和感と、
荒れゆく時代の中で浮かび上がる志という名の火種。
一方、時の帝国・漢王朝は腐敗し、
黄巾と呼ばれる新たな潮流が、義の名のもとに民衆を巻き込み始めていた。
武を磨くこと、理を学ぶこと、仁を貫くこと。
それはただの理想ではない。まだ若き青年が、
乱世の鼓動と呼応しながら見つけていく「己の戦い方」の物語。