第48話

私だって律のまわりにいる女の子のように甘えたり腕を絡めたり

したいのに。



持って生まれた矜持がそれを許さず、こんな可愛げのない女に

してしまっている。






「はぁ・・・ ・・ 」





言いたいことだけ言うとさっさと自分の居場所、律のいるあの

族のたまり場へと去ってしまった薫の背中を恨めしそうに追いながらも、これと言った行動も起こせない私。




ため息ばかりが零れ。




だんだんと瞼の奥が熱くなっていく。





「聖良・・・  」




静かな声で私を呼び優しく髪を梳くのは愛しい人でも肉親でもなく。




「葵・・ ・・  」

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