第19話 夢喰らう"愚者"と記憶 其の九 『四季編α』Ⅴ
「かなり飲んだな、もう飲めん!」
「貴方飲みすぎですよ。そろそろ部屋に戻りますよ。」
「そうだね、明日も有るんだし今日はこの辺で終ろうか。片付けは僕がやるから咲夜達は帰って良いよ。」
「なら私も持ち場に戻ろうか~な。」立ち上がる黒愚者にリリアナが片付けをしながら言う。
「黒愚者と"信綱"はこの後少し残ってね、話したいことがあるから。」
「分かりました。」
「私はこの酔っぱらいを連れて戻ります。」酔った四季を担ぐ。こんなに重かったっけ?と思いながら扉へと進む。
「あ、扉重いからリビングまで飛ばすよ。」指を鳴らすリリアナ、魔法のようにまばたきした瞬間私と四季はリビングに居た。
「なあ咲夜、風に当たらないか?酔いを覚ましたい。」
「良いですよ、でも自分で歩いてくださいよ。」
「分かってるよ。」玄関に向かい靴はいて外に出る。少し肌寒いが二人で手を繋いで歩く。温かい、久しぶりに感じる人の温もり。
「平和だな、今は争いがなくって人が簡単に死なない。」
「これから私達は平和ではなくなるのにのんきですね。貴方らしいですけど。」
「そうか?、俺はお前と居られればどんな世界でも平和に感じる。」
「これから私達は平和ではなくなるのにのんきですね。貴方らしいですけど。」
「そうか?、俺はお前と居られればどんな世界でも平和に感じる。」
「それ、私が先に死んだら貴方はどうするんですか……。貴方は私より長生きするんですから依存しすぎたら後に後悔しますよ。」
「その時はその時だ。今、咲夜と居れるこの日々に感謝をして生きていくのみ!」
「貴方、結構酔ってますね。飲みすぎですよ、たいしてお酒に強いわけじゃないのに。
ほら貴方河川敷に着きましたよ。」狭い視界の中に川の音と虫の音色が聞こえた。
「なあ、咲夜。こうゆう時何かロマンチックな言葉を言った方が良いか?」
「貴方、そういうキャラは似合いませんよ。」
「なら言ってみるか。「咲夜がここに居てくれると夜空を照らす月のように俺を導いてくれる」ってのはどうだ?」
「何ですかそれ?、ときめきもしませんよ。」
「やっぱそうだよな。俺センスないもんな………。」と頷きながら咲夜を見る。すると不思議そうに咲夜もまたこちらを見る。試しに俺は咲夜の頬にキスをした。
「貴方、ここは家ではありませんよ。」
「家に帰ってからそういうのはやってください。」と微かに頬が赤くなっていた。可愛い、我ながらうちの咲夜は可愛い。大事なことなので二回心の中で呟く。
「ごめん、ふとキスをしてみたくなった。」
「前の世界では平気でやっていたのに、これでは初々しいカップルですね。」
「そうだな、そろそろ戻るか。」
「はい。」と二人で手を繋ぎ家に戻るのだった。
書庫での会話。これは四季、咲夜が知らぬ間に動き出す計画の話。
「私たちを残した理由は何ですか?、先生。」
「あ、そのキャラ僕の前では止めるんだ。まあ良いけど、今回二人に集まってもらった理由はね。僕の"願い"をいずれ叶えてもらうためだよ。」
「願いとは?」
「僕はね常に○を望んでいるんだ。僕はそのために君たち二人を創った。」
「創った…?、まるで人ではない実験体のような言いかただな。」
「そうだよ"信綱"、君を生み出したのこの創造主だよ。」
「人と言うよりは人の体を模写したいわばクローンに近い存在だね。」
「クローンだと?」殺気のある目でこちらを見て刀を抜こうとする信綱に冷静な二人に恐怖を感じる信綱。
「刀を鞘に収めな、
「何故貴様は冷静に座っている!?、
「私がここに居れるのも全て先生のおかげだ。それに創造主には勝てない、それは誰にでも分かること。」
「理解が早くて助かるよ。無駄な戦闘は好まないしね。それに書庫が壊れるのは嫌だし。
話が脱線しましたね。話を戻してくださいよ先生。」
「そうだね。でも"四季"達が帰ってくるから今度にしよう。どうせ「"異変"」でもう一度集まるんだし。気長にいこう。」
「分かった。先に失礼する。」
「
「はい、では先生また。」書庫で独りリリアナ本を開き不気味に笑うのだった。
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