『おかげで救われた』

会社と家を行ったり来たりの生活が良く無かったようで。最近ぽっちゃりして来たな…とは思っていましたが、先日の健康診断で”肥満に注意”との結果。これはいかん!と妻にも相談。


昨夜、健康のためダイエットを始める事に決めた。善は急げ。家族を起こさないよう静かに家を出る。久々に運動するので怪我しないように、しっかりとストレッチしてからウォーキングに出発。


朝の日差しは優しく降り注ぎ、イヤホンから流れる爽やかな音楽も相まって、早起きして運動するのも良いもんだなと、若干ニヤつきながら腕を振り進む。


すると前方からどこかで見覚えのある男性。誰だったかな?スルーしようとするも相手の方から。

「おはようございます」


「こっ、これはこれは!」

分かっていないのが相手に伝わる。


「嫌だな〜もしかして忘れちゃいました?」

「これならどうです?」

男性は黒いニット帽を被った。


「あっ!お前は!」

それはずいぶん前に捕まえた殺人事件の犯人!彼の手には刃物!


「早起きは三文の徳とはよく言ったものだ」

「お前に捕まって刑務所ムショにぶち込まれてから二十五年、やっと見つけたよ」

「あの時の復讐だ!覚悟!」


「ぐぇ!」


「…しっかりストレッチしといて良かった」

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