第6話 幼馴染
(ジリリリリリリ)
「うわあああああ!!」
俺は布団から飛び起きた。
「はぁ……はぁ……」
(あれは……夢? 夢にしては現実味が……)
そうして俺は取り敢えず時計を確認する。
【2月14日 6時10分】
「……バレンタイン……さっき見た夢もバレンタインだった……」
夢……だろうか。いや、そのはずだ。だから、アイツは殺されてるわけが……
「……スーッ……ハァー……」
一度俺は深呼吸をした後、
「……取り敢えず準備をするか……」
そうして俺は妙な感覚を覚えながらも準備をし、アイツがいるはずの家へと向かうのだった。
そうして家の前で待っていると、やがてソイツはやってきた。
「すみません、待ちましたか?」
勿論出てきたのは桃瀬知咲季だった。当たり前のように出てきて、いつものようにその髪を靡かせて出てきた。そのはずなのに……そのはずなのに……
(ガバッ)
「!?!?」
俺は気がつけば、勝手にソイツのことを抱きしめていた。
「ちょっと歩夢君!? 急に何をするんですか?!」
俺も自分自身が何をしているのか、よくわからなかった。それでも、
「……少し……このままにさせてくれ……」
「……仕方がないですね」
しばし二人の間に静寂が訪れた。
そうして俺らは学校へと向かいながら、先ほどのことについて話をするのだった。
「……いやー、まさか貴方があんなことをするだなんて、思いもしませんでしたよ。本当、急にどうしたんですか?」
「いや……俺にもわからないんだ。なぜかお前を見た瞬間に、身体が勝手に動いていたんだ」
「……からかってますか?」
「……そんなわけないだろ!」
勿論これは本心から出た、嘘偽りのない言葉だ。何でこんな言葉が口から出てきたのかは……わからない。
「その反応を見るに……からかっているわけではなさそうですね」
「……そうか」
強いて言うなら……さっきの夢のせいだろうか? 確かに、まるで実際に起こったような感覚ではあったが……
などと俺が考えていると、ソイツに声をかけられる。
「……じゃあそんな貴方に、今日の学校終わり、一緒に遊びにいきませんか? 折角付き合ってからニヶ月が経ちますし……もちろんタダでとは言いませんが……」
その言葉に対して俺は、
「……行く」
「……え?」
間髪入れずに返答する。
「行くに決まってんだろ」
「……今日の貴方は昨日までとは別人みたいですね」
「そう…‥かもな」
そうして俺らは学校へ着くと、それぞれの教室へと向かうのだった。
(……何だか、変な気分だ)
○○○
「レンジ、聞いてくれないか」
俺は教室にて、その男に声をかけられていた。
取り敢えず俺は、思ったことを口にする。
「はいはい。チョコが欲しすぎて昨日寝れてないんだろ」
「……なっ! なぜわかった!? 普段のお前なら流してたくせに!……ちゃんと言われると余計傷つくんだよ!」
「何でわかったって、そりゃ……」
と、言いかけたところで俺は気づく。
「……何で俺はわかったんだ?」
「……何だ勘かよ。びっくりさせるなよな」
「……ま、まあな」
そんなこんなでコイツと話していると、やがて教師が入ってきて、授業が始まるのだった。
○○○
そうして4時間目が終わると、俺は響に声をかけられていた。
「お前……今日は珍しく起きてるんだな」
「……まあな。たまには授業を受けるのも悪くない」
「お前がそんなことを言うなんて……今日は隕石が落ちてくるな」
「そんなのお前がチョコを貰えることくらいあり得ない話だぞ」
「お前殺すぞ」
「……悪い悪い」
少し命の危機を覚えたところで俺は考える。
(いつもなら寝てるはずなのにな……)
そのいつもとは、普段の授業の様子だ。俺はいつも授業中に寝ていて……
「……まぁ、いいや」
取り敢えず俺はその場所へと向かうのだった。
「あっ……歩夢。昨日ぶりだね」
俺はとある女に声をかけられていた。
「ん……ああ、お前か」
金髪ショートヘアーのコイツは、
「昨日ぶりって……昨日どこかで会ったか?」
気になったため、俺は彩乃に質問をした。
「……覚えてない? 昨日はアンタがバイトの時に私は買い物に行っていたはずなんだけど……」
(昨日? 全然覚えてないな……ってか、昨日まで俺は何をしていたんだ?)
俺は昨日の記憶がないことに驚いていた。
「……悪い、覚えてねえわ」
「……そう。まあ、いいわ」
(……なんか、変な返し方だな)
そんな事を考えるが、今は関係ない話なので俺はその場から立ち去ることにした。
「……取り敢えず俺今急いでるから、また今度な」
「……ええ。また今度ね」
○○○○○○○○○○○○○○○
どうも、レンジでチンです。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
大変励みになるのでよろしければ評価、フォローをお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます