小田原→東京間
米倉秀×杉村かなえ
少し気分が悪くて静かな所に行きたいと思い車両間に行った時だった。
「ごめんなさい」
女の子に頭を下げる秀ちゃんがいた。
「俺、あんたのこと全然よく知らないし。
正直トイレの前で待つとかちょっと怖い」
気付かれないうちに戻ろうと、こっそり扉を開けた時。
「米倉くん、ひどいっ」
その女の子が秀ちゃんを突き飛ばして去って行った。
倒れた秀ちゃんを放っておけない。
「大丈夫?」
気づいたら手を差し延べてた。
「……かなえ」
ビックリした顔の秀ちゃん。
私が出した手は掴まず自力で立ち上がる。
「何してんだよ?」
電車の揺れる音がうるさい。
だけど秀ちゃんの声はちゃんと、聞こえてた。
「あ、そっか」
私が何も答えずにいると秀ちゃんはポッケに手を入れ、酔い止めの薬を私に手渡してきた。
「よったんだろ?これ、やる。
俺はいらないからさ」
私が遠慮していると無理矢理、押し付ける。
「ほら。遠慮すんな」
そして私が薬を受け取ると少しだけ笑って自分の席に戻って行った。
**
温もりを残し
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