No.6
斗花
第1話
文化祭一日目が終わり俺は机にふせた。
「先輩、お疲れ様です!」
隣で楽しそうにする宇佐川勇人を心から羨ましく思う。
「お前、楽しそうだなぁ……。見ててホッとするよ」
俺の言葉にウサが呆れる。
「まだ言ってるんですか?
少がないじゃないっすかー、係になっちゃったんだから」
そう言ってタイムスケジュールを俺から奪う。
「まぁ、確かに気の毒ですよねぇ……。
これじゃあイケメン決定戦もナデシコ決定戦もギャラスタも見れないし」
「……鬼だ」
俺、
文化祭で野球部はストラックアウトをしているんだけど、おれはそのとんでもなく嫌われる文化祭係を押し付けられた。
「なーんで二年も連続でこんな係やるんだよ!」
一緒に係をやってるウサは前向きに楽しそうに取り組んでいる。
そんなウサが俺を見ずに言った。
「でも、先輩。
こんなに部活の店番してクラスの手伝いしないんですか?」
ウサの言葉に俺は更に落胆。
「やりたかったよ、俺だって!
俺のクラスが何やるか知ってるよな?
バニー喫茶だぞ?!しかも、俺の提案!
なのに文化祭実行委員のやつ『淳士はいいよ』なんて、俺ナシでスケジューリングしやがって!」
一気に言い切った俺をウサがびっくりしながら見る。
「それは……、災難っすね」
「……もう、良いんだ」
そう言って俺は最後に看板を立てかけ直し自習室を出る。
「ほら、ウサ。帰るぞ」
ウサが慌てて鞄を持ち電気を消した。
「あっ、先輩。
明日、知り合い来ますか?」
ウサが思い出したように聞く。
ウサの言葉に俺は何て答えるか一瞬、悩んだ。
「お前は誰か来るの?」
「はい。家族と地元の友達が三人くらい。
……って、先輩に聞いてるんですよ!
先輩の彼女、他校にいるって今日、色んな先輩から聞いたんですから!」
今日は生徒だけが回る日だったから色んな奴がここに来たんだよな。
「いねーよ。何だよ、その噂」
「照れなくて良いっすよー」
俺のため息を勘違いしたらしくニヤニヤするウサを蹴った。
「いって!何で蹴るんですか?!
やっぱり、冴島さんと……」
「何で名前まで知ってんだよ?!
っつーか!彼女じゃねーよ!」
「じゃあ、何なんすか?」
俺の蹴った所をおさえながら俺を見てくる。
「幼なじみだよ」
俺の言葉にウサが首を傾げた。
「幼なじみ……?
えー?わざわざ先輩の為に文化祭とか来ますか?」
「俺の為じゃねーよ。
この高校、元中の奴多いからさ」
俺は冴島の説明が苦手だ。何度しても、上手にできない。
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