第4話 宣言

卒業まであと1月もなくなってきた


 身体は変化しはじめ体力もつき、勉強も苦手科目が少なくなり、志望校も一つ上に上げられそう。

 姉さんからも、顔とか体型も中の上くらいになってきたとお墨付きをもらった。


 そろそろかな?


 一緒に勉強するのも日常となった放課後の図書室で、櫻井さんに宣言する。


 「学年末のテストで5番以内に入れたら櫻井さんに伝えたいことがあるんだ」


 「えっ……なにを?」


 「今は言えないけど……絶対5番以内に入るから気持ちを伝えさせてほしい」


 姉さんは言ってた。

 女の子は目標に向かって努力する人が嫌いなはずはない、とその努力が自分の為ならなおさら。


 「……わ、分かったわ」


 彼女は頬杖をつき顔を背けてぶっきらぼうに、でも受け入れてくれた。


 同時に浜辺さんにも別の宣言。

 

 「もし、3月までに1500M走で浜辺さんのペースについていけたら伝えたいことがある」


 「……私速いけどアッキー大丈夫?」


 浜辺さんは県でも有数の実力者だ。

 今は全くついていけないし、来月でも追いつける自信なんてない。

 でも──


 「──うん絶対についていくから!その時には聞いてほしい」


 「……そっそう、まぁがんばりたまえよ~」


 浜辺さんはその後お腹が痛いとか言って、その後の授業は見学してた。

 それからしきりに僕が走ってるのを見てる気がするけど……気のせいか。


 

 「冬月さん」


 「んー?何アキくん」


 公園で貸した小説を読んでいる冬月さんに僕は宣言する。


 「僕絶対変わるから……」


 「ふぇ?」


 「冬月さんといても周りにとやかく言われないように変わるから」


 これまで二人でいるときに『釣り合ってなww』とかよく言われてきた。

 冬月さんは無視してたけど僕は嫌だった。変わりたかった。


 「うちは気にしてないよー?」


 小説に目を向けたまま足を組みなおす冬月さん。


 「それでも冬月さんが僕と一緒にいて馬鹿にされるのは嫌だから……だからもしぼ、僕が冬月さんの隣に立てるようになったら」


 「……なれたら?」


 横目で僕の顔を見つめる冬月さん。


 「冬月さんに伝えたいことがある」


 「ふーん……まぁいいけどうちの隣って結構ハードル高いよ?」


 「知ってる」


 「まぁアキくんの好きにすれば?じゃ本読むから」


 ……あれ?今一瞬冬月さん笑った?

 いやきっと告白ゲームに勝てそうだから笑ったんだろう。

 後は僕がどれだけ頑張れるかそれだけだ。


 

 そして僕は死に物狂いで頑張ってすべての宣言を達成し、卒業式前一週間で宣言通り告白した。

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