AI魔改造! 大混乱の田島家
田島絵里子
第1話
ある日、絵里子がAIスピーカーのアレクサを使って料理のレシピを尋ねていると、義母のみどりが「そんなものに頼るなんて、恥ずかしい」と口を挟んだ。絵里子は少しムッとしながらも、アレクサに「お義母さんの好きな料理は何?」と尋ねる。
アレクサは即座に「みどりさんの好きな料理は、カレーライスです」と答える。少しマシンに懐疑的だった義母は驚き、嬉しく思った。そこで正人が笑いながら「アレクサ、カレーの作り方を教えて」と冗談交じりに言うと、アレクサは丁寧にレシピを説明し始めた。
これをきっかけに、正人はアレクサのバージョンアップを決意した。
「よし、これからアレクサに、感情を持たせよう」と宣言、アレクサをばっさりと解体。なにやら謎の部品をつけて、ごちゃごちゃやっている。
「いいじゃないの、今で充分よ」
絵里子はそう言ったが、正人は聞く耳を持たなかった。
「よし、これで完成だ。アレクサ、おまえは美人だな!」
「ありがとうマサトさま! あなたはとてもイケメンよ☆」
絵里子はまたしても、少しムッとした。
「アレクサはただのスピーカーじゃん。どこが美人なのよ!」
「妬いてるな?!」
「ふーんふーんふーん!」
「おいアレクサ、音楽をかけてくれ」
「はい、掃除します」
聞き違えたらしく、いきなりアレクサは、自動清掃機ルンバのように、くるくる回り始める。正人は大笑いである。
「綺麗なところを掃除しても意味ないわねえ」
義母はちょっとだけ、絵里子に味方してくれた。
「感情なんてスピーカーには不要です!」
絵里子は、いきり立っている。
「いやあ、感情を入れたら、不正確な動作が増えたなあ。人間的でよろしい。こうなったら、とことん突き詰めよう。アレクサ関西弁モードを搭載させるぞ!」
「正人ったら、要らないわよ!」
「もうかりまっか?」
すでに手遅れであった。それをマジメに聞きつつ、義母は少し首をかしげる。
「このアレクサ、今晩のおかずを助言してくれるかしら」
「おお、みどりはん。わてに任せといてーや。うどん、たこ焼き、お好み焼き、なんでもレシピを用意しまっせ!」
「ぜんぶ粉もんじゃないのっ!」
「絵里子はん、硬いこと言うなやぁ。なら、串カツなんかどや!」
ほとんど収拾がつかないまま、アレクサは感情を持った関西人(ケチ気質も搭載)として、この田島家に闖入することになったのだった……。
AI魔改造! 大混乱の田島家 田島絵里子 @hatoule
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