21~30話のあらすじ
1590年のオランダ。前世の記憶を持つ転生者フレデリック・ヘンドリックは、仲間たちと共に「10年で産業革命を起こす」という壮大な目標を掲げ、秘密組織「コンパス・オブ・ディスティニー」を結成する。彼は産業革命の基礎として、まず度量衡の統一が不可欠だと気づく。そこに同じく転生者で天文学博士のウィレブロルド・スネル(ウィル)が加わり、彼らは精密な測定器具の開発に着手した。
しかし、彼らの計画は保守的な時計職人ギルドに拒絶される。それでも諦めないフレデリックたちは、進歩的な若手の職人たちと秘密裏に協力関係を築き、光学機器の開発や「メートル原器」の試作品完成にこぎつける。やがて、医学のオットー、農業のシャルル、金融のシャルロット、天文学のウィル、そして工学のフレデリックという5人の転生者は、それぞれの分野で活動を進めるが、いずれも旧来の権威や保守的な勢力との対立に直面していた。
この状況を打開するため、フレデリックは兄でありネーデルラント総督のマウリッツに計画を打ち明け、公的な研究機関「オラニエアカデミー」設立の約束を取り付ける。アカデミーの開所式には、新たに鉄鋼技術者のハインリヒをはじめとする転生者も集結。しかし、計画の実現には年間数千万ギルダーという天文学的な資金が必要であることが判明する。
起死回生の一手として投資家たちの前で行われた蒸気機関の実演は、技術的な未熟さから失敗に終わる。投資家たちが失望し去っていく中、アムステルダム市長でもある有力商人コルネリス・ホーフトだけがその将来性を見抜き、10万ギルダーの巨額投資を申し出る。ただし、それは会社の経営権を要求する厳しい条件付きだった。
フレデリックたちは、元銀行頭取であるシャルロットが考案した「無形の資本」という概念を武器に交渉に臨み、主導権を確保した上で投資を受け入れることに成功する。さらにシャルロットは、残りの資金を調達し、持続的な経済成長を促すため、国家が保証する「アムステルダム銀行」と「アムステルダム証券取引所」の設立という、この時代を根底から覆す壮大な金融革命計画を提案するのだった。
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