第三話: ノルヴァニアの影、香澄の決断

それから幾日かして、社長の源和己は自らのオフィスで重要な会議を控えていた。オフィスは最新のセキュリティシステムで守られており、外部からの侵入はほぼ不可能とされていた。しかし、和己は常に最悪の事態を想定していた。そのため、彼の右腕である第一秘書の山上香澄に、会議の安全を一任していた。


香澄は朝からオフィスを巡回し、細かい点検を行っていた。彼女の鋭い観察力と迅速な判断力は、これまで何度も会社を危機から救ってきた。黒髪をきちんとまとめ、身長175cmのスラリとした体躯で、まるで武将のようにエネルギッシュに動いていた。

会議室の外では、香澄の指示を受けた警備員たちが厳重な警戒を続けていた。全てが予定通りに進んでいたが、彼女の心の中には一抹の不安があった。ノルヴァニアの動きが気になっていたのだ。もし何かが起これば、彼女の責任は重大である。香澄は心の中で

「私が守らなければ、誰が守るのか」

と自問自答し、気を引き締めた。


その時、通信機から津村の声が響いた。

「香澄さん、状況に変化がありました。ノルヴァニアの情報が入ってきました。会議に参加する要人の中に、狙われている人物がいるかもしれません。」

香澄は瞬時に反応し、目を細めた。

「誰ですか?すぐに情報を共有してください。」

「東亜重工の社長です。彼が狙われている可能性が高いです。」

津村の声には緊迫感が漂っていた。香澄はすぐに状況を把握し、和己に向かって言った。

「和己さん、東亜重工の社長が狙われている可能性があります。警備を強化し、彼の周囲を重点的に見張る必要があります。」

和己は真剣な表情で頷いた。

「了解だ。君の指示に従う。全員に警戒を呼びかけよう。」

香澄は一瞬、心の中で決意を新たにした。

「私が守らなければ、誰が守るのか。私がこの瞬間を乗り越えなければ、何も始まらない。」


会議は始まり、参加者たちが席に着く中、香澄はその姿勢を崩さなかった。彼女は冷静に周囲を観察し、何か異変が起きた場合にはすぐに反応できるように準備を整えた。会議が始まると、香澄はオフィスの防衛体制を再確認し、全てが正常であることを確認した。

しかし、その時、彼女の感覚が何か異変を察知した。亜空間通信を使って、情報管理室の津村憲司から緊急の連絡が入った。

「香澄さん、ノルヴァニア共和国の動きが活発化しています。会議が狙われる可能性があります。」

津村の声は冷静だったが、その内容は緊迫感に満ちていた。

香澄は即座に行動を開始した。彼女は加藤聖と杉本浩二に指示を出し、オフィスの警備を強化させた。さらに、斎藤瀧雄にノルヴァニア共和国の動きを探るよう命じた。

「分かった。すぐに対処する。」

瀧雄は短く答え、行動に移った。


会議室の外では、香澄と第2秘書の有田涼子が警戒態勢をとっていた。涼子は金髪の美しい女性で、香澄と同様に高い戦闘能力を持っていた。二人は絶妙なコンビネーションで、潜在的な脅威を次々と排除していった。

しかし、事態は思わぬ方向に展開した。突然、オフィスのセキュリティシステムが異常を示し始めた。香澄は迅速に原因を突き止めようとしたが、その背後で何者かが動いていることを感じ取った。

「涼子、ここを頼む。私は内部を調べる。」

香澄はそう言い残し、オフィスの奥へと向かった。


香澄が向かった先は、オフィスの中央コンピュータルームだった。ここには、会社の全ての情報が集約されている。香澄が部屋に入ると、そこには意外な光景が広がっていた。サイボーグが何かを探しているようだった。

「何をしている?」

香澄は鋭く問い詰めた。

サイボーグは振り返り、冷たい目で香澄を見つめた。

「ノルヴァニア共和国の命令だ。お前たちの情報を手に入れる。」

香澄は瞬時に状況を理解し、戦闘態勢を取った。サイボーグは驚異的なスピードで攻撃を仕掛けてきたが、香澄はその動きを見事にかわし、反撃に出た。二人の戦いは激しく、周囲の機器が次々と破壊されていった。


その時、津村から再び連絡が入った。

「香澄さん、加藤と杉本が刺客を迎撃中です。外部からの侵入者もいます。」

香澄は戦いながら、全体の状況を把握しようとした。彼女の頭の中では、次々と情報が処理され、最適な対策が導き出されていった。

「了解。こちらは任せて。」

香澄は冷静に答え、サイボーグとの戦いに集中した。

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