骨が折れた話@物理的

奈那美

第1話

その日は土曜日でした。

 

子供会の行事も終わってほっとした私は(人づきあい苦手な私は、滅茶苦茶苦手なのだ)、夕ご飯時にいつもより多めに呑んでいました。

 

後片付けも終わり、裏口のかぎをかけなくちゃ……と移動しました。

 

室内から裏口に行くには、二段分段差があります。

 

いつもは上の段に愛用するつっかけサンダルが置いてあるのですが、なぜかその日に限って下の段に置いてあります。

 

上の段には履物類が一つも置かれていない……ということは、砂でざらついているであろう上の段に素足で降りた後に下段に移動しなくてはいけない。

 

いつもであれば、あとで足を拭こう……と考えて素足で段を踏むところです。

 

ただ……呑んでますよね~酔っぱですよね~。

 

拭くのが面倒!と思った私は、えいっとばかりにサンダルに足を伸ばします。

 

右足が無事にサンダルをとらえます。

 

続けて左足……サンダルはちゃんと捕えました。

 

でも身体がバランスを崩しました。

 

やばい!転ぶ!!

 

とっさに左足を前に出しました。

 

若干だけどカカトに高さがあるサンダルです。

 

転ぶことは免れたものの、左足が床面に接した時に足をひねりました。

 

パキ……

 

かすかに音がしました。

 

指の関節を鳴らしたような小さな音です。

 

痛みはほとんどありません。

 

お~捻挫もしないなんて、やるじゃん?私。

 

そして、施錠も済ませて布団に入りました。

 

翌日曜日。

 

なんとな~くだけど左足が痛い気がします。

 

足の甲を見ると腫れているような??

 

相方を呼んで見てもらうと、やっぱり腫れているようだと。

 

年の為医者に……って、日曜日じゃん!

 

新聞で休日当番医を探すと整形外科は隣の市……連れて行ってもらいました。

 

レントゲンを撮ってもらうと、左足の甲にヒビが……。

 

「あ~折れてますね。全治三か月。ギプスして、松葉杖出しますね。あと安静にしておいて、仕事は休んで」

 

……当時、私配送員だったんですよ。

 

会社に電話して、怪我のこと伝えて。

 

社長も部長もいい人で、身体の心配してくれました。

 

私の分の仕事は、ほかのみんなで運ぶからと。

 

おかげでしっかり治療できてありがたかったです。

 

そんなこんなで始まった療養生活ですが……それまで二階で寝ていたのですが階段が危ないからと一階の部屋で寝ることになりました。

 

だけど家にはベッドはない。

 

わざわざ買うのはもったいない……ということで、床に布団を敷いて寝ることになりました。

 

ギプスつけてるとはいえ、足に負荷がかかるとそれなりに痛いんですよね。

 

起きた後立ち上がるまでがしばらく大変でした。

 

おまけにテレビがない部屋だし、今みたいにスマホがないので暇つぶしができない。

 

相方にパズル雑誌買ってきてもらったけれど、ほしかったのとは違うやつ買って来てるし……一日が長かったです。

 

そうこうしているうちに、室内だったら松葉杖なしで移動できるようになったので、できる家事は再開。

 

料理は当時元気だった姑に作ってもらってましたが、茶碗洗いと乾いた洗濯物たたみをやってました(ギプスの足で両足立ちで洗いものは難しいので、椅子に左足の膝立ちさせて)

 

やっと許可が出てギプスを外すときのバリバリバリの感覚は今でも覚えてます……真夏でなくて本当によかった。

 

骨って、案外もろいものなんだなと思った体験でした。

 


 


 

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