第9話

「よぉ」


「お、恭じゃん」


「聞きたいことがあって来たんだよ」


「ふ~ん。

 何?」


「紺野椿さんについてどう思ってるのかなって?

 前、ペットだって自覚したって言ってたから」


「あぁ、それ?

 分からないんだよ。

 あの人とどう接すればいいのか。

 別に嫌いではないんだけどね」


「そうか」


「質問はもうない?」


「あぁ、これで終わりだ」


「そう言えば、どうやって入ってきたの?」


「頼み込んだ」


「そんなんであの人が許可出すかねぇ?

 ま、興味ないはずだからどうでもいいや」


「え?

 あの人がお前に興味」


「瑠璃」


「つばきさん」


「さんはいらねぇって言ってんだろ」


「・・・・つばき」


「そうだ」


 そんな、甘さを含んだ顔でこっちを見るな。


 立ち直れなくなるから、


「辞めて」


「あ?」


「何でもない」


「隠し事か?」


「恭、」


 助けてと言おうとしたらもういなかった。


 逃げ足はやっ


「何を言おうとした?

 助けてとでも言おうとしたのか?

 なぁ、答えろ」


「そんな事言おうとは思ってない」


「まぁいい。

 全て聞いてるからな」


「聞いてる?」


「あぁ」


 どういう事だ?


「お前は俺の猫。

 分かってるよな。

 くれぐれも逃げようなんて考えるなよ?」


「ノーコメント」


「そうか。

 外出禁止な」


 嫌、今も外出禁止なんですけど、


「お前は俺の猫なのにな」


「・・・・?」


 よく、分からない。

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