領主の娘と全盲の英雄、両片思いの二人がすれ違う
- ★★★ Excellent!!!
※読み合い企画からのレビューです
領主の娘であるリュシーが結婚させられたのは、"光なき英雄"として有名な全盲の魔術師・イズラフェルだった──という導入から始まる本作品は、政略結婚ながらも両片思いの二人が徐々に距離を縮めていく繊細な物語だ
その壮絶な過去から「自分には人を幸せにできない」と信じ込んでしまっているイズラフェルの頑なな心を、リュシーが解きほぐしていく物語と表現しても良いだろう
すれ違う二人にやきもきさせられるが、それを楽しむのが本作品
すこしずつ近付いていく二人の心に、温かいものを感じること間違いなしだ
そして、二人の関係以外の部分で、まるで地雷のように埋め込まれ"いつか必ず爆発する"と確信できる伏線もあり、そちらはそちらでハラハラさせられる
その地雷が爆発するとき、果てしてこの物語に何が起こるのか──こちらも要注目だ
繊細な筆致で描かれる、両片思いの本作品
是非一度手に取ってみてほしい